ロボコップ(2014)

1987年の同名映画をジョゼ・バヂーリャ監督が現代風に作りなおした作品だ。巨大ロボット企業オムニ社が関わるのは同じだけど、最新科学の成果を盛り込んだ現実的な内容になっている。精巧な義手や義足は実在しているし、ロボットスーツもある。現実になっていないのは脳神経の信号だけで全身を動かすロボットだけである。この物語ではそのもう少しで現実化できる技術をもとに、どれだけ人間的な感情を保ち続けることができるのかをテーマにした。この着眼点が旧作とは違う趣になった。人間そっくりに行動するロボットは実現できているけど、機能を優先するか感情や記憶を忘れないかの葛藤がいい。

2028年、ロボット技術の巨大企業オムニ社は兵士や警官の代わりを務めるロボットを開発した。アメリカを除く世界各地に配備されており、多大な貢献をしていた。イスラム圏のある国では、歩行する戦車と人間タイプのロボットが治安の維持にあたっている。武器の保持や種類まで一瞬で判別してしまうので、治安の維持に役立っている。反アメリカの考えを持つ人達は抵抗するのが、非常に難しい。でも、アメリカ本国ではロボットの利用が法律で禁じられている。

オムニ社の社長レイモンド・セラーズ(マイケル・キートン)は、なんとか本国でもロボットを活用する方法を模索していた。治安の悪化するデトロイトでは、警察が治安維持に奮闘している。アレックス・マーフィ(ジョエル・キナマン)は、妻のクララ(アビー・コーニッシュ)と息子に恵まれて生活する警官だ。相棒のジャック・ルイス(マイケル・K・ウィリアムズ)と、警察の武器庫から持ちだされた強力な兵器が組織の手に渡っているのを突き止める。警察内部に協力者がいるので、二人だけで検挙しようとする。

応援を呼ばなかったので相棒は負傷していまい、自分も車に爆弾を仕掛けられて瀕死の重症を負う。80%を重度の火傷にあい、片足を切断し視力がどんどん弱まっていく。クララは病院に呼ばれて、もう長く持たないと告げられる。それに目をつけたのが、オムニ社だった。デネット・ノートン博士(ゲイリー・オールドマン)らのチームが尽力して脳と肺を残して、他の身体の部分をロボットで作り上げる。脳死状態になっていないので、記憶や感情はアレックスそのものだった。リハビリをかねて警官としての訓練をすると、すぐに活発に動けるようになる。妻子とも再会して、生き残れた喜びを味あう。

ところが、コンピューターの情報処理能力を導入されたアレックスは、ロボコップとしての機能を優先させたので家族を認識しなくなってしまう。それは成果を優先するオムニ社の意向だった。ロボコップが活躍すればするほど、家族との絆が薄くなってしまう。さらに、警察内部の腐敗も見逃してしまう。プログラムされた規則に逆らって、人間だった頃の行動基準を思い起こすシーンがいい。息子が受けた心の傷を監視カメラの映像で思いをはせるエピソードが泣けてくる。人間的なロボコップの誕生だ。

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