ローン・サバイバー

イラク戦争が終わってテロへの戦いと称してタリバンやアルカイダとの戦いが始まる。アフガニスタンやパキスタンが主戦場になるけど、民間人と軍人との格好の差がわからない状態が難しい戦況を展開される。その状況でアメリカ海軍の精鋭部隊ネイビーシールズが実際に経験した実話を元に映画化された。予告編で生き残ったマーカス・ラトレルが「私のミッションはこの映画化で終わった」と語っているのが印象的だった。この映画を見れば、不毛な戦いの中でも敵味方関係なく人間としての良心を垣間見ることができる。

『アフガン、たった一人の生還』ではネイビーシールズの訓練の様子が詳細に描かれているそうだ。過去の映画で、ボートを担いでひたすら走り続けるシーンを観たことがある。何日も寝ないで行軍したり、手足を縛って水中に潜るなんていう訓練が繰り返される。脱落者がどんどん出る厳しい訓練だ。やっと一人前になっても生きて帰れるか誰もわからない。2005年6月にタリバン・幹部を殺害する「レッド・ウィング作戦」が極秘に行われる。マーカス・ラトレル(マーク・ウォールバーグ)ら4名がヘリコプターで降下して、偵察活動を開始する。その役目はタリバン幹部の居場所の確認だった。

すぐに遠くの村で目的の人物とタリバン兵たちを見つける。山の中で隠れていたら、山羊を連れた村人が3人やってくる。山羊の群れはなんとかやり過ごすけど、村人に見つかってしまう。大人2名と子供1人を捕らえたけど、4名の兵士はどうするか議論になる。離れた基地とは連絡ができなくなり、自分たちだけで判断するしかない。ゴルゴ13なら躊躇なく始末するけど、軍隊という組織に属しているので簡単に決まらない。多数決の結果、ラトレルの意見が通り、村人を解放する。

子供は殺さないと主張したシールズたちは、完全に見通しが甘かった。山の斜面を走って行ったのは解放された子供だった。すぐにタリバンに知られてしまい、場所を移動したけど100人を超えるタリバン兵に包囲される。AK48とロケット砲を持ったタリバン兵に追われて、シールズたちは徐々に人数が減っていく。追い込まれると、崖から転がり落ちるという手段で逃げるけど最後には一人になってしまう。そして敵に囲まれて岩の下に隠れる。数日隠されていたけど、片足に銃撃を受けていて歩けない。

最初の戦闘場所から相当離れた地点で、倒れているとタリバン兵ではないパシュトゥン人に助けられる。英語が通じないのに、なぜか村人たちは介抱してくれた。さらに、アメリカ兵を追いかけてくるタリバン兵からも匿ってくれたのだ。一人の老人をアメリカ基地への伝令として使いに出してくれる。タリバンは武力で村人を従わせて、逆らうものを皆殺しにする。力で従わせようとすると反発を招く。パシュトゥン人は追われている人間がいたら助けるという掟を2000年前から守ってきたのだという。一人のアメリカ兵を助けるのに、十数人の犠牲が必要だった。

ラトレルと救出したパシュトゥン人は、現在も交流があるらしい。そのシーンを観ただけでも救いがあった。
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