チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像

人気TVドラマ「チーム・バチスタ」シリーズの映画化だ。原作は海堂尊でこれが最終章らしい。愁訴外来担当の精神科医・伊藤淳史と厚労省の役人・仲村トオルという凸凹コンビが活躍する医療ミステリーだ。ドラマシリーズの最新版を少しでも見ていないとわからない登場人物がいるのが少し不親切かもしれない。MRIという画像診断技術を死因の解明に使うのが理にかなっていると考える病院側とそれに反対するグループの攻防を描いている。人間関係が複雑になっているのが見応えを呼んでいるけど、少し難しいかもしれない。

というのも、隣に座っていたお客さんが「さっぱりわからなかった」と家族で話していたのを聞いて思った。脅迫状を送りつけた人間と、集団不審死の事件と、病院のコンピューターシステムへの攻撃の三つが起きる。それらがどう関係しているのか、わかりにくい設定になっていると感じた。でも、ドラマのファンだった自分には、なかなか緊迫したシーンが連続して来たのでワクワクした。ドラマ版の桜宮すみれ(栗山千明)がどうして白鳥(仲村トオル)と田口先生(伊藤淳史)を恨んでいるのか、少し説明が欲しかった。

東城医大に、Ai(死亡時画像診断)センターが設立される。普通のMRIの2倍のコイルを搭載する”リヴァイアサン”という巨大なバームクーヘンみたいな機器が、戦車で牽引されてくる。その戦車には、田口先生が乗っているという笑える設定なのだ。何トンもある重量が戦車での牽引を必要としたのだ。その担当医として、アメリカからMRIの専門医・東堂文昭(生瀬勝久)がやってくる。でかいMRIを設置して、磁場の調整をするのに結構時間と手間がかかる。

その直前、医療関係者9人が不審死した事件が起きていた。別荘の地下の部屋に男性ばかりが集まって、倒れて死亡していた。毒物も発見されず、一酸化中毒の様子もない。たった一人の生存者が東城医大に搬送されるけど、原因がわからない。司法解剖しても原因不明なのだ。巨大なMRIの発表披露シンポジウムに向けて、医療ジャーナリストの別宮葉子(桐谷美玲)が田口先生(グッチ)に近づいてくる。白鳥はグッチにも春が来たと暢気に考えていた。

警察関係者と共同して9名の共通点を探っていた白鳥は、15年前のある薬害事件にたどり着く。1000人に一人の副作用発生を突き止めるのに、何十年もかかるという白鳥の言葉は統計的に正しいのだろう。医薬品の認可には動物実験から臨床試験などを経て、10年位かかる。家族を薬害で失った遺族は、大変に悔しい思いをしているはずだ。この動機は十分に説得力があった。コンピューターウィルスの感染には組織の中からやるのが簡単だというのは、よく使われる設定だ。グッチが言うセリフ「それでも生きろ」が、素晴らしい。

重水というのは、普通の水が水素(H)2個と酸素1個の分子でできているのに対して、水素の重さが2倍のもの(重水素:D)と置き換わった水のことだ。普通の水の分子量は18(水素の1が二つ+酸素の16)だけど、重水は20(重水素が二つ+酸素の16)だ。体内の水分が10%重水に置き換わると生命に危険がある。重水の中の魚は生きられないし、植物に重水を与えると枯れる。

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