300<スリーハンドレッド>~帝国の進撃~

フランク・ミラーの人気グラフィックノベルを映画化した第2弾だ。紀元前5世紀にペルシャ帝国とギリシャの都市国家の紛争は歴史上の事実だけど、趣を現代風にした歴史スペクタクル・アクションになった。3Dで鑑賞するのを前提にしたアクションは、その場にいるような臨場感だった。前作は陸上の戦いだったけど、今回はエーゲ海の海上戦でダイナミックな映像が満喫できた。戦いのシーンは血肉が飛び散るので覚悟が必要だ。女性が司令官になるなど現代風の解釈も加えられている。

2007年の「300<スリーハンドレッド>」はスパルタという都市国家が単独でペルシャに立ち向かう物語だった。スパルタが少数精鋭だったのは、農民や奴隷の数が多くて市民が少ないので負けないように強くなる必要があった。ほかのギリシャの都市国家では市民階級の数が多くて、その人達が兵士として戦った。ペルシャ帝国の領地は非常に広大で、兵士の数も多いけど寄せ集めという弱点もある。それを統率するには、アルテミシア(エヴァ・グリーン)のような女性でありながら冷酷非情な指揮官が必要になったのだ。また、ギリシャの都市国家の市民だけでは兵士の数が足りないので、農民も戦いに駆り出されて結果を出せば階級があがるというシステムだ。

今回はペルシャの大艦隊を、ギリシャの少数精鋭の艦隊が迎え撃つという筋書きになっている。当時の船はこぎ手は奴隷である。ペルシャの艦隊のこぎ手は鎖でつながれていて、船が沈むと助からない。ギリシャ側のこぎ手がどうなっているのかは、詳しい描写がない。自由を獲得するために戦うという題目があるので、身分の違いを詳しくは描いていないのだろう。マラトンの戦いでなんとかペルシャ帝国を撤退させたけど、その10年後にペルシャはクセルクセ大王(ロドリゴ・サントロ)が女性司令官アルテミシアを先頭にしてやってくる。1000隻の大艦隊に30万人の陸軍を率いている。それに対抗するのは、テミストクレス(サリヴァン・ステイプルトン)が指揮を取るギリシャ連合軍だった。

アルテミシアがギリシャ人でありながら、両親をギリシャ軍に殺された設定にしている。ギリシャに対する復讐心を闘志の源にしているから、奇跡的に誰もかなわない剣の使い手になり軍の司令官になる。この扱いは当時の歴史的考察からは絶対にないものだけど、現代は強い女性がいっぱいいるのでいいのだろう。相手の司令官テミストクレスを色仕掛けで味方にしようとするが、拒否されて総攻撃をしてくる。

最初はギリシャ軍が船をぶつけて、大きなペルシャの船を沈める。次には、細長い湾に相手をおびき寄せてギリシャ軍が勝利する。3回目には、ペルシャ軍がタンカーのような船でタールを海上に撒き散らして、火をつけて攻撃してくる。アルテミシアは味方がいくら犠牲になろうとかまわないという冷酷さを見せる。それに対抗するために、テミストクレスは各都市に協力を仰いで力を結集しようとする。とくにスパルタの王妃ゴルゴ(レナ・ヘディ)を説得するのに、苦労する。

海上の船で、馬に乗って進撃するシーンはびっくりした。大きな波に翻弄されながら、艦隊がぶつかる迫力に圧倒される。これは大画面で見たい映画だと思う。
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