トランセンデンス

人間の脳の全情報を人工知能に移植したらどうなるかを描いたSF作品だ。ジョニー・デップ主演、「インセプション」や「ダークナイト」のカメラマン、ウォーリー・フィスターが監督デビューを飾った。スーパーコンピューターではなくて、ネットに接続したパソコンに人間の脳の情報を移した人工知能という点が現実性を持っている。ただ描かれるスケールはローカルな局地戦という感じになってしまった。小さな片田舎の町を舞台にした人工知能とその暴走を止めようとする人間の戦いとして描かれていて、肩透かしをくったようだった。

マックス(ポール・ペタニー)は全くデジタル製品のない町並みを歩いて、ある家に入っていく。その家の中を通って庭に出ると銅でできた網の下にひまわりが咲いている。そこの家には彼の友人の夫婦が住んでいたけど、もう亡くなったみたいだ。その5年前、人工知能の研究で第一線を走るウィル・キャスター(ジョニー・デップ)と妻のエヴリン(レベッカ・ホール)は猿の脳の情報を人工知能に移植するのに成功した。より多くの予算を獲得するために、二人は講演会の会場に行く。人間の脳の情報を人口知能に移植するのに反対する反テクノロジー団体の襲撃を受けて、ウィルは重症を負う。一見助かったと思われたけど、弾丸に放射性物質が含まれていてウィルは衰退していく。

ウィルの死を恐れた妻のエヴリンは、精神だけでも生き延びらせたいと思い、自分たちの研究室から数個のハードディスクを持ち帰る。そして、小さなコンピューターにウィルの脳の情報を移植することに成功した。はじめはだめだと思っていたけど、ネットに接続したとたんにウィルの考えを持った人工知能が自分でプログラムを作って作動しはじめた。エヴリンは、ずっとウィルといっしょにいたいと思い寂れた田舎にやってきて巨大な太陽光発電パネルを備えたサーバー基地を建設する。

室温を一定に保つために地下に巨大なスパコンを設置した。ウィルの人格を持った人工知能は、軍事機密や個人情報や金融情報などを得るようになる。莫大な富が集中して、その電力を供給するために太陽光発電パネルが見渡す限り設置される。おまけに、世界中の科学知識を集積して最新の医療ができるようになっていた。怪我をした人や目が見えない人などを次々に治療していくので、村の人々は味方になる。でも、ウィルが開発したナノテクノロジーで全員が集中管理されており、ウィルそのものの人格を持っている人も出てくる。

ウィルの同僚だったマックスは反テクノロジーの過激派に誘拐されて、元上司だったジョセフ(モーガン・フリーマン)らと軍隊もウィルの人工知能の暴走を食い止めるために協力することになる。アメリカ中の電力や軍事基地を制御されて、正攻法でもはや対抗する手段がなくなったのだ。ウィルは空中にナノマシンを放出して川や水たまりや海にも自分の分身を配置して、全世界をコントロールしようとしていた。そこまでの力を持つとはエヴリンも予想していなかったので、反テクノロジー派に協力するしかなくなる。

エヴリンが自分を止めに来たと知ったウィルの人工知能は、最終的に愛を取り戻してお互いに滅亡することを選択する。なんだかテクノロジーの物語のはずなのに、ラブストーリーみたいな終わり方だった。
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