マレフィセント

ディズニー・アニメ「眠れる森の美女」からのスピンオフで、悪役の魔女をアンジェリーナ・ジョリー主演で映画化した作品だ。なぜオーロラ姫に眠りに落ちる呪文をかけたのか、その謎を魔女マレフィセントの過去を丁寧に描くことで明らかにしている。物語の展開が早くて、しっかりと筋を把握して鑑賞する必要がある。妖精も人間も普通に感情を持っていて、悲しくなったり楽しくなったり愛したり裏切られたりするのだ。お子様ではこの難しい物語を理解できないかもしれない。

昔々、あるところに人間が住む場所と妖精が住む場所が隣り合っていた。お互いにそれぞれのすみかを侵害しなければ問題ない。マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は大きな翼を持って、妖精の国の守護者として君臨していた。そこに子供時代のステファンが来る。二人は仲良くなって恋心を持つようになるけど、人間の王様が軍隊を率いて妖精の国に攻め込んでくる。それを防ぐために、マレフィセントは樹木の妖精を使って阻止する。傷ついた王は、自分を撃退したマレフィセントをやっつけたものを後継者にすると宣言する。

野心を持つステファン(シャールト・コプリー)は、子供の頃からの知り合いであるマレフィセントに近づく。そして、彼女が眠ったところにナイフを取り出して翼を切り離してしまう。翼を城に持ち帰ったステファンは後継者になって、王位をつぐ。翼を取られたマレフィセントは失意に落ち込み、ステファンに憎しみを持つ。そこでマレフィセントは、カラスのディアバル(サム・ライリー)を味方にして情報を探らせる。やがて、ステファン王には王女オーロラが生まれて各地から祝福するものが城にやってくる。妖精の国からは、ノットグラス、シスルウィット、フリットルの3名が城に来る。二人が祝福の言葉を言ったあと、突然招かれざるマレフィセントが登場する。

ステファン王はすぐにマレフィセントに気がつくけど、「16歳の誕生日が終わる前に姫は永遠の眠りにつく。それを解くことができるのは真実の愛を持ったもののキスだけだ。」と呪文をかけたあとだった。オーロラ姫を心配した王様は、3人の妖精に人里離れた場所で面倒を見るように命令する。でも、子育てをしたことがない妖精たちが心配で、マレフィセントは様子を見に行く。案の定、妖精たちの子育てはチンプンカンプンだった。オーロラ姫の成長を見守ったのは、呪いをかけた本人だったのだ。

オーロラ姫が大きくなると、姫(エル・ファニング)はマレフィセント本人とも話をするようになる。赤ちゃんのころから3人の世話人とは別の人が自分を見守っていたことを、オーロラ姫は知っていた。人間たちは姫の呪いを防ごうと妖精の国に攻撃をしかけるけど、全然かなわない。二つの国の争いを止めようと、オーロラ姫は自分の足で城に向かう。マレフィセントは追いかけて行って姫の呪いを解除しようと試みるけど、無理だった。誕生日になってオーロラ姫は眠りに入ってしまう。再び悲しみに包まれたマレフィセントは、姫の額にキスをする。すると、姫が目覚める。真実の愛を持っていたのは呪文をかけたマレフィセント自身だったのだ。

怒りに狂った王様は、マレフィセントが苦手な鉄で網を作り捕まえようとする。王様は自分の娘よりも、地位が大切だったようだ。これが「眠れる森の美女」の本当の物語なのかは知らないけど、実に深いストーリー性を持っていた。
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