怪しい彼女

ファン・ドンヒョク監督が作った作品で、韓国で大ヒットしたらしい。70歳の女性が突然身体だけ20歳になって繰り広げるドタバタ騒動を、笑いあり涙ありの感動作品にした。前知識がなかったので、あまりの感動に震えるくらいだった。毒舌家の意地悪ばあさんは嫁をいびるのが趣味で、家族から煙たがられている。でも女手一人で育てた一人息子は大学教授になり、それが自慢だ。若い頃は自分のことを犠牲にして死に物狂いで生活した。一人息子を大学教授にまで育て上げたのは並大抵の苦労ではない。その苦労を観客に思い起こさせながら、孫のバンド活動のヴォーカルとして活躍する。楽曲がすばらしく、自信を持っておすすめできる。

70歳のオ・マルスン(ナ・ムニ)は思ったことをすぐに口に出す毒舌家だ。嫁には料理のやり方から子供の育て方まで、細かく口出しする。嫁はいじめられすぎて、医者にかかるまでになる。働いている老人向けカフェでは、お客さんにもズケズケと文句を言う。周囲から煙たがられる存在だけど、一人息子を国立大学の大学教授にまで育て上げたのが自慢だ。大学に進学させるまで、母親は死に物狂いで働いたのだと思う。大学院に進学するのは本人の努力次第ということもある。

ある日、オ・マルスンが青春写真館という店を見つける。その店のセールスコピーは、「20歳の頃の若さを写真で表現します」というものだ。騙されたと思って撮影してみると、本当に20歳の頃の若い自分に戻ってしまう。頭は老人なのに、身体は20歳という姿(シム・ウンギョン)になってしまった。キャッシュカードを持っていたのでとりあえず自宅に戻らないで、別人と生きようと決意する。オードリー・ヘップバーンが大好きなので、オ・ドゥリと名乗る。自宅には戻れないので、子供の頃からの知り合いであるパク氏(パク・イナン)の家に転がり込む。

子供の頃はお嬢様だったので、パク氏は使用人であった。そしていまだに好意を持っていた。夫はドイツに出稼ぎに行き亡くなって、一人息子を女手一人で育て上げた。オ・ドゥリは、絶対に自分の正体がばれないように孫のジハ(ジニョン)のバンド活動を応援する。ジハは売れないバンドのリーダーだけど、ヴォーカルの女性が今ひとつで喧嘩別れする。ヴォーカルのいなくなったので、オ・ドゥリは志願する。抜群の歌唱力を披露して、テレビのプロデューサーのハン・スンウ(イ・ジヌク)に見いだされる。そして、あれよあれよとプロデビューしてしまう。

「ロスに行けば」の軽快で明るい歌も、「白い蝶」や「雨水」などのバラードも、最後のステージで歌う「もう一度」という歌もすばらしい。バラードを歌うときに込められた気持ちが、70歳の経験に裏打ちされているようなのだ。実際には20歳の女性が歌っている設定だけど、非常にうまい。「もう一度」が披露されるステージが、オ・ドゥリとしての最後の歌としての設定にした演出がすばらしい。孫の命を救うためなら、代わってあげたいというのが祖母の本心だと思う。

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