喰女ークイメー

主演の市川海老蔵が企画から携わったホラー映画だ。三池崇史監督が「四谷怪談」をモチーフにして、山岸きくみ脚本によって芝居の世界と現実世界が交錯する。どこから現実でどこから架空の話なのかわざとわからないようにしているので、余計に恐怖が増している。悪いやつをとことん悪者にして、裏切られた女性の怨念が襲いかかる。暑い夏に涼しくなることは間違いない。まさか、あのようなエンディングにするとは予想外だったから余計に怖い。

スター女優・後藤美雪(柴咲コウ)は、舞台劇「真四谷怪談」の主演だ。相手の伊右衛門役には私生活で恋人の長谷川浩介(市川海老蔵)が、抜擢される。現実世界と舞台劇の境界は、稽古場にある名札なのか稽古場の扉なのかわからない。その境界は、映画の進行とともに曖昧になっていく。伊右衛門は盲目のあん摩・宅悦(伊藤英明)に金を借りて、女遊びをするどうしようもないやつだ。でも、民谷文左衛門(勝野洋)の娘岩(柴咲コウ)との縁談がまとまり世帯を持つ。

現実世界でも、美雪と浩介はベッドを共にする間柄だ。稽古場に通うのにも、車に同乗するほど周囲も知っている。美雪のマネージャー(マイコ)も、浩介との関係を知っている。車で稽古場に向かう途中、工事中による一方通行の信号がある。必ずそこを通らないといけない仕組みになっている。よく観察すると、あと何秒で信号が変わるのか表示されることがわかる。その秒数がちょっとおかしいことがあった。それは、後々に効いてくるヒントになっている。

現実の世界も舞台の世界も同じ配役で、同じような物語が進む。宅悦(伊藤英明)は、岩すなわち美雪(柴咲コウ)に好意を持っているけど叶えられない。共演の新進女優・朝比奈莉緒(中西美帆)は、舞台で伊藤梅を演じており伊右衛門と強引に結ばれようとする。現実世界でも、浩介と寝てしまう。徐々に美雪の精神が崩壊していく様子が生々しい。薬をオーバードーズするシーンがあるので、精神的な病の兆候がある。そのシーンから、美雪の行動は常軌を逸してくる。

それにしても、伊右衛門という男は悪党だ。岩に薬と偽って毒を飲ませて、例の形相にさせてしまう。目が見えない宅悦が岩に抱きついた現場を抑えて、不義密通の輩として成敗するのだ。舞台稽古なのに、美術がすばらしい。周り舞台装置も効果的に使われている。現実世界の部屋も非常に凝っていて、美意識を感じた。男女の欲望が濃密に繰り広げられるので、目が離せない。今年の秀作の一つになるだろう。

おまけ:安定していない患者には2週間分の薬しか処方されない。それを全部飲んでもまず死ぬことはない。睡眠薬や精神安定剤を2週間分飲んでも、2,3日寝ているだけの場合が多い。でも、保障はできません。

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