アバウト・タイム ~愛おしい時間について~

リチャード・カーティス監督・脚本で作られた、タイムトラベルを使える男性の人生の生き方を題材にした映画だ。この主人公のようにやり直したい場面に戻って一番いい選択をしたいと思うこともあるけど、なんだか現在の自分もそれなりの存在だと最近は感じている。自分のように途中でドロップアウトして人生をやり直している人間にとっては、どちらがよかったなんて決められないからだ。自分よりも早くこの世からいなくなってしまった同級生がいるので何がよかったなんてわからない。

大学生のころ、社会人になりたてのころ、故郷に帰ってきたころ、新しい会社に入ったころ、自分には何回も人生の分岐点があった。その頃を思い出すと、なぜあんなことをしてしまったのかとか、なぜそれに気がつかなったのかとか思う。もう一度やり直せるならやり直したいとも思ったことがあるけど、その準備ができていなかった。

この作品の主人公ティム(ドーナル・グリーソン)は、父(ビル・ナイ)から21歳の誕生日に「我が家の男性には過去に戻る能力がある」と打ち明けられる。暗い場所に入って、いつに戻りたいか念じるとその時間に戻ることができるというのだ。大学を卒業してロンドンに出て、弁護士の卵として働き始める。仕事でも成功したいけど、心優しいティムは下宿先の父の友人で脚本家のハリー(トム・ホランダー)の舞台がうまくいくようにその能力を使う。

職場の同僚と遊びに行ったバーで知り合ったメアリー(レイチェル・マクアダムス)を好きになる。でも、数日後に出会うと違う男性といっしょに歩いているのを見つける。ティムは過去に戻り、なんとかメアリーと親しくなりたいと試行錯誤する。なんとか恋人になることに成功するけど、彼の友人たちに色々な影響が出てしまう。また、妹のキットカット(リディア・ウィルソン)が田舎で残されて自棄になり、酔っぱらい運転で事故を起こしてしまう。

それにもティムは助けを差し伸べようとするけど、本人が立ち直る気持ちがないと物事がうまくいかないことを知る。過去に戻って色々やり直していたら、自分の子供が女から男に変わっていたのには笑ってしまった。少しのタイミングの差で物事は変わってしまうのだ。父親が末期がんであることを知り助けたいと思うけど、自分が生まれる前までいかないと防げないと知るのだ。父からの遺言は、「現在をやり直せないものとして大切に生きる。それもごく普通に生きる。」というものだった。

タイムトラベルという素材をうまく使った物語になっていて、何回も観たいと思う映画だった。音楽も素晴らしかった。

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