美女と野獣

「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ監督が脚本も担当して、1740年当時の原作小説をもとに映画化した作品だ。デズニーのやつしか知らないけど「美女と野獣」の物語にこんな深淵な背景があったとは驚きだ。製作国はフランスが主体で言語はフランス語だ。王子が野獣に変えられた理由とその呪いを解くまでの物語がしっかりと描かれていて、大人にこそ鑑賞してもらいたい内容だった。自然の中に神々を見出す日本人なら、この映画は理解しやすいと思う。映像も衣装も特殊効果もすばらしい。

大型の帆船で貿易をしていた時代、フランスの都会に裕福な商人一家が暮らしている。商人(アンドレ・デュソリエ)には3人の息子と3人の娘がいた。3隻の帆船を使って貿易商として財をなした商人は、港町の名士だった。でもある日嵐が船を襲い、3隻とも沈没してしまう。破産して屋敷のと中にある調度品は借金のかたに取られて、一家は田舎に越してくる。末娘のベル(レア・セドゥ)だけは田舎暮らしに積極的に馴染み、野菜作りにも取り組む。

ところが、3人の兄と2人の姉は贅沢な生活に慣れきっていて、働こうとしない。そればかりか、一番上の兄は町で借金を作り姿を消してしまう。心配した父が探しに行くけど、兄を追っているチンピラに代わりに金を要求されて逃げ出す。雪道を帰る途中で馬が怪我をして、歩いていく途中で古い城を見つけて命拾いする。誰もいないけど食料があったので食べて子供たちに言われた品物を持ち立ち去ろうとすると、ベルへの土産に赤いバラを一輪折る。すると、野獣で出てきて「欲張り者め、それも取っていくのか。一日の猶予をやるから戻ってこい。さもないと家族全員を殺す。」と言われる。

帰宅した父はすべてを家族に話して、自分がまた野獣のもとに戻ると言う。それを聞いたベルは、自分が生まれた直後に母親が亡くなったので、自分が父のかわりになると言い野獣の元に行く。樹木で覆われた城の中に入ると、食卓が用意されており野獣が出現する。そして、要求したのは夜7時に食卓についていっしょに食事をすることだけだった。ベルは夢を見るようになり、野獣がどうしてその姿になったのか知る。プリンセスと結婚した王子は雌鹿の狩りに夢中になって、とうとう金の矢で射ることに成功する。でもそれは森の精の娘が人間になっていた姿であり、彼女の父親が王子を野獣に呪い変身させたのだった。

ベルは覚悟を決めると、素直に野獣の言うことを聞くようになる。その変わり用に驚いた野獣は願いを一つだけ叶えてやろうと言い出す。すると、ベルは一日だけ家族の元に帰りたいと願う。ベルが家に帰ってみると、家族は武装しており町から来る借金取りを警戒していた。案の定借金取りが来ると、上の兄二人がベルの持っていた宝石を借金取りに渡し、野獣の住む城へ案内する。ベルは兄達を止めようと城に駆けつけるけど、間に合わない。野獣は欲深い人間に黄金の矢で刺されるけど、ベルたち兄弟の助けで回復する。

人間の欲望と無償の愛、自然の中に暮らす人間の弱さなどが物語のテーマになっている。すばらしい映画だった。

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最初の2点はこの映画の監督が参考にしたものです。





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