恋愛寫眞 Collage of our Life

2003年06月17日 16時29分00秒
『ケイゾク』や『トリック』の堤幸彦監督の野心作だ。16mm、8m、24Pハイビジョン、ビデオ、スチール、ポラロイド、デジカメなどのあらゆる映像表現を屈指した映画だ。その中でもよく使われているのが、Canon F-1という1996年に生産中止になったマニュアル一眼レフの最高峰のカメラだ。今はオートフォーカスで、EOSシリーズに取って代わられた。F-1は、重量も1kgくらいあり、まさに堅牢な構造だ。もちろん、プロユースに耐えられる品質を誇る。

写真は、撮る人の内面を映し出す。撮る人が持っている感性以上のものは、写せないのだ。でも、何枚も撮っていくと、たまに良い写真が撮れる。だから、枚数を撮らないとうまくなれない。この映画は、監督が意図した映像表現が、役者の芝居を越えてしまった。つまり、一枚一枚の写真や流れている映像を見ているだけで、話がわかってしまうのだ。これは、役者の存在感の不足なのか、写真の力が強すぎたのか。多分、両方だ。

広末涼子も松田龍平も良い芝居をしているが、わてには斎藤清貴が主に撮った写真の訴える力が強すぎて、印象に残っている。主演の二人も撮ったらしいが、やっぱりプロの写真は違う。

物語は、大学時代に瀬川誠人(松田龍平)と里中静流(広末涼子)が出会う所から始まる。写真部の誠人は、静流(しずる)と同棲を始め写真を教えてあげる。天真爛漫な静流は、発想が豊かで自由であったので、写真の腕をどんどん上げていく。そして、卒業間際に写真雑誌に応募すると静流の方が、新人賞を取ってしまう。誠人は、プロカメラマンになることを決意するが、静流は誠人と別れることにする。

誠人が一流のカメラマンになったら、もう一度会う約束をして別れる。別れてから3年がたち、誠人は三流ながらカメラマンとして食べていた。そんな誠人の元にニューヨークに留学した静流から、コンボイで個展を開くから来て欲しいと手紙が来る。しかし、静流は1年前に死んだという噂が流れていた。

始めはニューヨークに行くつもりはなかったが、突然気が変わりニューヨークに向かう。手がかりは静流の残した写真が一枚だけ。これで、関係者にめぐり合うのはかなり無理な設定だ。まあ、映画だからいいけど。ここからは、スリルとサスペンスに富んだ物語になっていく。良い展開で、どんどん引っ張ってくれる。後は、監督の手際の良さにはまって欲しい。

でも、やっぱり写真の持つ力に役者が負けている。DVDは、買いかもしれない。何しろ、何回見ても飽きないだろうから。写真の個展に音楽が付いて、物語が付いているのだ。これは、すごい。



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