V フォー・ヴェンデッタ

2006年4月27日 19時51分
アラン・ムーアとデヴィッド・ロイド原作のアナーキズム的コミックを、「マトリックス」のウォッシャウスキー兄弟の脚本で映画化された作品だ。監督は、「マトリックス」の助監督をしていたジェームズ・マクティーヴだ。近未来の独裁国家になったイギリスを舞台に、体制に反抗する仮面の男”Ⅴ”を主人公にしたアナーキストの反撃を描いた映画だ。アメリカの反テロリスト政策を皮肉る内容も見られるが、終盤に来るとナタリー・ポートマンとの悲恋物語のような展開になってしまってがっかりした。原作のアラン・ムーアのクレジットがないのも、理由があったというわけだ。

第三次世界大戦をアメリカが起こして、世界が崩壊状態になった2030年ごろが時代的な設定だろう。混乱状態に陥ったイギリスを立て直すために、アダム・サトラー議長(ジョン・ハート)が独裁体制を確立していた。放送局は政府系のBTNというテレビ局があるだけで、国民は限定された情報しか得られていない。つまり、現在の北朝鮮のような体制といえばわかりやすい。夜間は外出禁止令が発令されているが、放送局に勤めるイヴィー(ナタリー・ポートマン)は自警団に捕まってしまう。そこへ、謎の仮面を被った男V(ヒューゴ・ウィーヴィング)が現れ彼女を救う。Vの隠れ家にかくまわれたイヴィーは、Vの家の中にある蔵書や調度品が政府に禁止されているものばかりであることに驚く。

Vは、1605年11月5日ガイ・フォークスが、ジェームズ一世のカトリック教徒に対する弾圧に対抗して、国会議事堂に爆薬を仕掛けたが失敗に終わり処刑された故事にならって、現在の体制に反旗を広めようとしていると説明する。しかし、それを聞いたイヴィーはそんな彼の狂信的な行動を理解できない。そして、元気になったらここから出たいと言い出す。でも、Vはここから出れば秘密警察に捕まって拷問を受けて殺されると警告する。Vが刑事裁判所を爆破するシーンを目撃したイヴィーは、もう当局の要注意人物になっていた。

ここから、サトラー議長の専制ぶりや真相を究明しようとするフィンチ警視(スティーヴン・レイ)の活躍が描かれて、ダークな物語が展開していく。わてはこのままテロリストと、強権的な体制との対決で最後まで続くと期待した。でも、最後の方でお話がVとイヴィーの愛の悲劇という意味合いが入ってきて興ざめした。わては、最初に紹介されたガイ・フォーカスの未遂事件を付箋にしてもよかったと考えている。体制側の欺瞞を白日の下にさらすと共に、テロリスト側の身勝手さも描いてもよかったのではないか。


同じカテゴリー(2006年映画)の記事
M:i:Ⅲ
M:i:Ⅲ(2018-11-06 17:59)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
V フォー・ヴェンデッタ
    コメント(0)