世界の中心で、愛をさけぶ

2004年05月10日 17時35分02秒
今ベストセラーになっている、片山恭一の小説「世界の中心で、愛をさけぶ」を映画化した作品だ。公開3日目の月曜日に見に行ったが、なかなかの入りでヒットしそうな感じがする。監督・脚本は、『GO』の行定勲だ。映画としての完成度は、残念ながら、物足りない。でも、泣ける人には非常に涙腺を刺激するだろう。

話が出来すぎていている。1986年の高校時代の朔太郎(森山未來)と亜紀(長澤まさみ)の恋愛話は、たいへんに見せ場があって、生き生きとしていた。これと、現代の2004年の大人になった朔太郎(大沢たかお)と彼の婚約者の律子(柴咲コウ)が絡んでくるのだ。特に律子が、よくわからないのだ。彼女の行動が、あまりにも突飛すぎないか。なぜ婚約者である朔太郎に黙って行動するか、理由がわからない。それと、高校時代の朔太郎が白血病で無菌室に入っている亜紀をオーストラリアに連れて行くだろうか。

でも、そこら辺の細かいことに目をつぶると泣ける映画なのだ。スポーツ万能、成績優秀の高校のマドンナ的存在だった亜紀が、平凡な高校生だった朔太郎に声を掛けてくる。深夜のラジオ番組にリクエスト競争をしたり、カセットテープのウォークマンでテープの交換日記をしたりする。また、無人島になっている島へ一泊旅行に出かける。ところが、その帰りに亜紀が倒れ白血病だと判明する。

一方、現代の朔太郎は結婚を控えて忙しい身だ。婚約者の律子は、引越しの仕度をしていて子供の頃の服の中から、1本のカセットテープを見つける。それを聞いた律子は、子供の頃そのテープが自分の母親の入院していたやさしいお姉さんに頼まれて、高校生のお兄さんに届けるはずだったものだと思い出す。そして、律子はテープを届けた四国の高校へ旅立ってしまう。朔太郎も律子の後を追って、故郷に戻る。

現代の話と過去をうまくミックスして、映画は進んでいく。涙腺を刺激するシーンは、たくさんある。亜紀を病室から連れ出して空港へ行くシーンや、写真館の重じい(山崎努)の所で花婿・花嫁衣裳の写真を撮るシーンなど、泣けてくる。また、高校の体育館で朔太郎を見つけた律子が、黙ってみているところなどなかなかいい。そして、偶然雨宿りをした写真館で、子供の頃のやさしいお姉さんが、高校時代の朔太郎の恋人だった亜紀という女性だとわかるのだ。

ここで、律子は朔太郎に別れを告げて空港へ戻る。多分、律子は朔太郎との結婚を考え直そうとしたのだろう。朔太郎はここで気付くのだ。いつまでも過去の思い出に捕らわれていては、いけないと。空港で追いついた朔太郎は、律子を連れてオーストラリアへ旅立つ。唐突ではあるが、エアーズロックへ向かう。でも、途中でクルマがパンクして近くの丘に律子と登る。

そのなんでもない丘が、彼らにとって世界の中心なのだ。平井堅の『瞳をとじて』という主題歌がまたいい。亜紀のテープの最後を聞くと、「サクは、もう私のことを忘れて自分の人生を生きてください。」というセリフが流れる。泣かせるでは、ありませんか。映画館で泣くのは、男でも別にかまわない。照明が明るくなる前に、涙を拭けばいいのだ。


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