麒麟の翼~劇場版・新参者~

東野圭吾の同名小説のTVシリーズと同じ阿部寛主演で映画化された作品だ。映画鑑賞中に刺激的なことがあったので、残念ながら映画の中身に集中できなかった。新参者の面白さは街に慣れていない人間が、徐々にその地独自の文化習慣を解明していくところにある。「加賀さん、あなた何もわかっていない」というセリフが象徴しているけど、この映画の加賀恭一郎は所轄の知識を総動員して事件を解き明かしていく。何もわかっていなかったのは、捜査本部の上層部だったのが少し残念な点だった。

ある日、日本橋の翼のある麒麟像の下で男性が瀕死状態で発見される。救急車で病院に運ばれるが、男性青柳武明(中井貴一)は死亡する。家族が駆けつけたときには、もう亡くなっていた。長男の悠人(松坂桃李)と長女遥香(竹富聖花)は愕然とする。警視庁捜査一課と日本橋署は合同捜査本部を立てて、詳しく調べ始める。その同時刻に、近くで発見された不審人物八島冬樹(三浦貴大)は、被害者のかばんを持って逃げてトラックにはねられて意識不明になる。

八島の恋人中原香織(新垣結衣)は、八島がそんなことをする人ではないと主張する。でも、被害者の勤務先の子会社で八島が働いていたことがわかり有力な容疑者にされてしまう。香織は肉屋で働いていたが、殺人事件の容疑者と関係があると勤務先を首になる。捜査本部の上層部が八島を犯人だと決め付けた捜査を始めるが、加賀と彼のいとこで警視庁の松宮脩平(溝端淳平)は決め付けないで捜査を進める。

被害者が倒れていた麒麟像の場所まで、8分間も歩き続けたことが謎のまま残る。八島の働いていた工場を調べると、労災隠しが見つかる。すると、一転被害者は実は加害者ではなかったのかと、マスコミが報じる。それにつられて、捜査方針も揺れ動く。被害者の所持品を調べると、日本橋近辺にある神社との関連性が見つかる。被害者は、数箇所ある神社をめぐり百羽の折鶴を奉納していたことがわかる。

長男の悠人が中学時代に水泳部を途中でやめたことがわかるが、顧問の糸川肇(劇団ひとり)は特に変わったところはないと証言する。ここらへんまでの展開はスリルがあったのだ。残念なことにポップコーンを食べることができなったので、今一つ物語に集中できなかった。松坂桃李と中井貴一の熱演で、年頃の父子の関係の難しさは伝わってきた。派遣切りも労災隠しも、教師の事なかれ主義も風呂敷を広げすぎたと感じた。ポップコーンを食べていれば違っていたかもしれない。



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