レ・ミゼラブル

ヴィクトル・ユゴー原作の小説をアラン・ブーブリルがミュージカルにしたものを、ユニバーサル100周年で映画化された。子供の頃、児童文学全集で読んだ「ああ無情」の記憶しかなかったけど、それで十分にお話は理解できた。セリフを歌で表現する違和感はすぐに解消された。芝居をしながら歌を収録して、伴奏はあとからアレンジしているみたいだ。ジャン・バルジャンとシャベール警部の確執が解決する段階になると、涙がボロボロ出てくる。血が繋がっていない娘のために命をかけるジャン・バルジャンがファンテーヌと天国に召されるシーンが、切なくてたまらない。

ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライドらが主要登場人物はもちろん、出演者全員の歌がうまい。下手な俳優はキャスティングされていないだろう。大人の鑑賞に耐えうる格調高い内容になっている。貧しさと差別ゆえにパンを盗んだだけで19年間の刑に処せられたジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、刑務官のシャベール(ラッセル・クロウ)から仮釈放を言い渡される。仮釈放なので定期的に出頭しないといけないが、知り合いもいないのでまともな職にありつけない。やっと辿りついた教会で介抱される。

でも、人間不信に陥っていたジャンは教会の銀食器を盗み出して警察に捉えられる。神父さんの前に連れてこられるが、それはジャンに差し上げたものだと言われる。おまけに燭台も持たされて開放された。その神父の対応に感動したジャンは、心を入れ替えてまじめに生きる決意をする。それから8年後にはある街で市長になり、織物工場を経営するまでになった。

ところが、その工場に警部になったシャベールが挨拶に来る。若くて美しいファンテーヌ(アン・ハサウェイ)は工場長にセクハラを受けて、同僚たちからも嫉妬される。同僚と騒ぎになった時だったのでジャンは、工場長に対応を指示する。自分の地位を守りたい工場長はファンテーヌを首にする。宿屋に預けている子供コゼットが心配なファンテーヌは、売春婦に身を落として亡くなってしまう。それを知ったジャンは、コゼットを探し出していっしょにパリに逃げる。シャベール警部の追跡をなんとか振り切った二人はパリで慎ましく生活していたが、運命は残酷だ。

年頃になったコゼット(アマンダ・セイフライド)に恋をする青年マリウス(エディ・レッドメイン)が現れる。マリウスはパリの学生たちといっしょに王政復古された体制の打破に、立ち上がろうとしていた。キリスト教の影響を色濃く受けている物語は、涙なしでは見られない。憎しみではなく、許しを与えることが人間を救う。自分の利益ではなくて、相手のことを思いやる。そんな簡単なことが難しい世の中だからこそ、この映画は必見なのだろう。英語の歌の訳も非常によくできているので、中学生くらいのお子様にも勧められる。

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