ヒューゴの不思議な発明

ブライアン・セルズニックの小説を原作に、マーティン・スコセッシ監督が3Dで映画化した作品だ。1930年代のフランス・パリを舞台にして映画創成期の偉人たち(ジョルジュ・メリエスら)を登場させつつ、最新の映像技術を使った美しい映像物語を魅せてくれる。孤児となった主人公の少年が父の残した機械人形を修理する過程と、夢破れた映画作家の過去からの脱却が交差すると感動的な人間ドラマが生まれる。映画の世界が人々に夢を与えてくれることを、これほどうれしく感じるとはスコセッシ監督に感謝したい。是非、映画館で3Dのすばらしさを体験してほしい。2012年のベストテンに間違いなく入る作品だ。

第1次大戦から10年以上経過して、世界恐慌の不況の嵐が吹き荒れるフランスのパリ。ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、時計職人の父(ジュード・ロウ)とつつましく暮らしていた。博物館から拾ってきた壊れた機械人形を直すのが父子の夢だったが、父は火事で亡くなってしまう。おじさんに引き取られて、パリの駅舎にある時計全部の管理をヒューゴは仕事にする。酔っ払いのおじさんは途中でいなくなるが、駅舎の中にいれば生活がなんとかできた。機械人形をなんとか修理したいヒューゴは、おもちゃ屋から部品を万引きしていた。

おもちゃ屋の主人ジョルジュ(ベン・キングスレー)に捕まったヒューゴは、ポケットの中にあるものを全部取り上げられる。その中には、父が残してくれた機械人形のノートも入っていた。ジョルジュはなぜかその機械人形を敵視して、悪者扱いする。でも鉄道公安官(サシャ・バロン・コーエン)に引き渡すことをしないで、おもちゃの修理をやらせてくれる。鉄道公安官に引き渡されると孤児院に入らないといけないので、冷たい人間ではなかった。おもちゃ屋の孫娘らしいイザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と知り合ったヒューゴは、なんとかノートを取り返そうとする。

おもちゃ屋のジョルジュが、実はフランスの映画創成期に活躍したジョルジュ・メリエスだとわかるのは映画の終わりごろになってからだ。ヒューゴとイザベルは、機械人形の秘密を調べたり本屋のおじさんに聞いたりしてジョルジュがどういう過去を歩んできたのか探り始める。子供のすることなので、物事は簡単ではない。ときに怒られたり、鉄道公安官に捕まりそうになったりする。

映画研究者のルネ・タバール(マイケル・スタールバール)と知り合って、機械人形の謎が解明される。イザベルのハートのペンダントを機械人形に差し込むと、人形が動き出し一枚の絵を描き始める。また、ジョルジュのタンスの隠しだなから見つけた多くの絵が、空中に浮き上がる。機械人形が空中に浮かんで線路の上に落ちていく。そのほかにも綺麗な映像がどんどん登場する。ヒューゴとイザベルの熱意が頑固な老人の心を解きほぐし、彼らの周囲の大人たちの心も暖かくする。

アカデミー賞11部門にノミネートされて、撮影賞・美術賞・視覚効果賞・編集賞・録音賞を獲得したのは納得できる。これほど映像と物語が感動を呼ぶと、宝石のような映画と言っていいだろう。



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