ドライヴ  DRIVE

ジェイムズ・サリスの小説を原作に、ライアン・ゴズリングとキャリー・マリガン共演でニコラス・ウィディング・レフンが監督して映画化した闇稼業のドライバーの映画だ。昼間はハリウッドのスタントドライバーで夜は強盗などの運転担当として稼いでいる孤独な青年を、ライアン・ゴズリングが演じている。「17歳の肖像」のキャリー・マリガンは、彼と同じ階に住む子連れの人妻だ。「トランスポーター」と似ているけど、この作品の方が暗くて余計なセリフがなくクールだ。カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しているだけに、格好いい映画だと感じた。フォードマスタングGTやクライスラー300にシボレーノバが活躍して、日本車が故障するという対比が興味深い。

冒頭、深夜に強盗に入った二人組みを路上の車で待っているドライバー(ライアン・ゴズリング)がいる。5分だけ待って間に合わないと出発するというルールは、警報装置作動から警察が駆けつけるまでの時間から設定されたのだろう。パトカーやヘリコプターに追われながら、どこかの混雑する駐車場に逃げ込んで車を置いて逃げる。その手際のよさは並ではない。昼間働いている車屋のシャノン(ブライアン・クラストン)が、逃走用の車を用意して連絡手段に使った携帯電話は捨ててしまう。

ある日、買い物に出たとき車が故障して帰れなくなったアイリーン(キャリー・マリガン)を送ると、同じアパートの同じ階に住んでいたことがわかる。男の子を連れたアイリーンの夫スタンダード(オスカー・アイザック)は、刑務所に入っているという。すぐに出所してきたスタンダードは刑務所の中でボディーガード代として、マフィアに借金をしていた。マフィアといっても、ごく普通に食料品店などで生計を立てているので判別が難しい。

スタンダードが何者かに殴られて血を流しているのを、部屋に連れて来たドライバーは理由を聞いて驚く。刑務所の中で作った借金を返すために、強盗の手伝いをするように言われて断ったら殴られたというのだ。犯罪組織の闇が感じられる。抜けたくても抜けることができないのだ。アイリーンや息子とすっかり仲良くなったドライバーは、スタンダードが関わるように強制された仕事の運転手を引き受ける。それが、隣人を助けることになるからだ。

ストリッパーのブランチ(クリスティナ・ヘンドリックス)と二人で質屋に強盗に入ったスタンダードは、質屋の主人に射殺されてしまう。しかもブランチの運んできたかばんの中には、100万ドル(1ドル82円で8200万円)も入っていた。普通の質屋にそんな大金があるわけもなく、闇の金だったのだ。どこかの組織の金を横取りしたのだ。街のマフィア・ニーノ(ロン・パールマン)は食料品店の主人で、そのボスバーニー・ローズ(アルバート・ブルックス)はカーレースのスポンサーという顔があった。

やばい金を持ち逃げできるわけはない。情け容赦ない殺し屋がドライバーやアイリーンたちを始末するためにやってくる。それをどう防ぐかは、映画館で見て欲しい。必ずしもハッピーエンドでないのが、非情でクールだ。スコーピオン(さそり)の革ジャンが格好いい。



同じカテゴリー(2012年映画)の記事
レ・ミゼラブル
レ・ミゼラブル(2012-12-21 21:55)

果てぬ村のミナ
果てぬ村のミナ(2012-12-19 22:23)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
ドライヴ  DRIVE
    コメント(0)