ももへの手紙

プロダクションIG製作、沖浦啓之監督・原案・脚本で映画化されたアニメ。母と瀬戸内海の小島に引っ越してきた少女が島で出会った三人の妖怪たちと交流して、死に別れた父とのわだかまりを捨て去り母との信頼関係を再構築する物語だ。母を優香、ももを美山加恋、妖怪を西田敏行らがふきかえている。瀬戸内の自然を背景に不思議な妖怪との心温まる交流が繰り広げられるのだが、謎の部分が簡単に説明されて物語に緩急が少ない。題材はいいのに、惜しい点だと思う。

父をウィーン少年合唱団のコンサートに誘うが仕事だと断られたももは、「もうお父さんなんか帰ってこなくていい」と言い別れる。仕事先で事故死した父から「ももへ」とだけ書かれた手紙を持ったももは、母宮浦いく子と瀬戸内の呉市にある小島に引っ越してくる。そこには母の大おじと大おばが住んでいて、二人はその家に住むことになる。母はさっそく介護の仕事につくための講習に出て、留守がちになる。

父との別れの心の整理ができていないももは、ポツンと一人留守番をする。そこに妖怪のイワ(西田敏行)とカワ(山寺宏一)とマメ(チョー)が出現する。古本から出てきたのかと思ったら、三匹の妖怪はももたちのあとをどこかからついてきたようだ。妖怪を見ることができるのはももと、島の小学生陽太の妹海美だけだった。三匹の妖怪はやたらと食いしん坊でイノシシのように農産物を食べて、泥棒もやる。

途中まで妖怪の正体を謎のままにしておけばよかったかもしれない。でも、妖怪自ら正体をしゃべってしまう。死んだ人が天まで無事に登っていくまで、遺族を見守る役目を果たしているというのだ。死んだ人が天まで到達すれば、遺族を見守ることができるけど、その途中の段階では無理だという。ももの母は喘息の持病があり、無理ができない。でも、新しい生活を始めるために無理を重ねてしまう。

ももが妖怪たちに振り回されているときに台風がやってくる。母がももを探しに出て倒れて、喘息の発作を起こす。ももは母を助けるために暴風雨の中を郵便配達の幸市さんの助けを借りて、島と島を結ぶ橋を渡ろうとする。妖怪たちがももを助けに来るのだが、そのシーンがそっけない。さらに島を渡ったら、すぐに母との病室のシーンになる。エンディングに向けた早足の描き方に違和感を覚えた。



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