ファミリー・ツリー   THE DESCENDANTS

アレクサンダー・ペイン監督、ジョージ・クルーニー主演で描かれた父親と二人の子供が家族の絆を再構築する映画だ。仕事中毒だった夫が今まで放置していた子育てと向き合う。妻は不倫相手とボートレース中に事故で昏睡状態になってしまう。プライドをかなぐり捨てて、父親の役目をやり直す。不倫相手の家族に会ってなぜ関係を結んだのか問い詰めるのだから、一歩間違えるとシリアスな悲劇になっていた。それを、先祖から受け継いだ土地の売却問題を絡ませることで子孫へ残したいものに観客を導いてコメディの要素を入れることに成功した。アカデミー賞脚色賞を獲得しただけのことはある。

何よりもいいのが、ハワイの自然とふりそそぐ太陽だ。カメハメハ大王の末裔で、ハワイ主要諸島の一番北西にあるカウアイ島に広大な原野を所有するマット・キング(ジョージ・クルーニー)。彼はサーフィンを何十年もしていない。住んでみれば都会も田舎も同じになってしまうけど、物語が進むに連れて恵まれた自然の中で暮らしていることに気がつく。たぶん夫から子供の世話を押し付けられて家のことを全部背負った妻は、現実から逃れるために不倫をしたのだろう。この家族の誰も悪くない。

植物状態になった妻はベッドの上に寝て一言もしゃべれない。次女のスコッティ(アマラ・ミラー)はおてんばの限りをする。やりたい放題だ。ハワイ島にいる長女アレクサンドラ(シャイリーン・ウッドリー)を呼びに行く。すると、シド(ニック・クラウス)という男友達がくっついてくる。長女アレックスから妻が浮気していたことを知らされたマックは、サンダルで友人宅に押しかける。浮気相手の名前を知ったマックは、家族の再生に向かって走り出す。

大勢いる一族はカウアイ島の供託期限が来る7年後を待たないで、地元の不動産会社に売ることを希望している。決めるのはあくまでの弁護士のマックだ。妻の容態が絶望的になり、本人の希望に従って尊厳死と臓器移植が行われることになる。それを子供達に告げるには、タイミングが難しい。特に幼いスコッティに言うのが難しい。マックは、偶然不倫相手のスピアーズの家を見つける。しかも、妻子がいる。マックは悩んだあげく、相手家族に妻の容態を告げる決意をする。

その訪問に長女のアレックスが同行する。父親を交通事故で亡くしたシドが、このあたりでマックの話し相手になる。なぜ来たのかわからないと思ったけど、役に立つもんだ。父と娘二人が、妻の遺灰をボートの上から海にまくシーンがある。ここはほんとうに感動した。マックは自分が豊かな自然に囲まれた環境にいることを実感して、広大な土地を残す決断をする。広大な自然に囲まれて、人間は世代をつないでいくのだ。





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