アメイジング・スパイダーマン

サム・ライミ監督の三部作で大成功したのに、同じキャラクターで3D技術を付加して映画化された第1弾だ。クモに刺されてクモの糸を自在に出すことができるようになる設定は同じだけど、物語の内容は非常に人間味溢れたものになった。両親を幼いときに失って寂しい青年だったピーターがスパイダーマンになり、恋をして人々のために戦って大人になっていく。特に感心したのは、父の元同僚だった科学者が悪に染まっていく過程が誰にでもありがちな動機から導かれていることだ。主演のアンドリュー・ガーフィールドと共演のエマ・ストーンがすばらしい。3Dで楽しむのがベストだけど、脚本がいいのでどちらでもお勧めできる。監督はマーク・ウェブだ。

この物語で両親が失踪して伯父夫婦に育てられたピーター(アンドリュー・ガーフィールド)は、スケートボードでしか自分を表現できない。内気で他人と関わりをもたない少年だ。機械いじりと好きで科学が好きだけど、学校の勉強はできない。やたらと探究心がある。それは現在の若者の持つ一つの特徴だろう。クモの能力を得てアクションシーンが出てくるまでに時間が掛かったのは、このシリーズが三部作くらいのシナリオを持っているからだろう。

カート・コナーズ博士(リス・エヴァンス)がとかげの遺伝子と人間の遺伝子を融合させようとしたのは、会社側に結果を求められたことと自分の片腕を再生させたかったからだ。彼が片腕を失う結果になったのは何が原因だったのか。また、ピーターの両親はほんとうに亡くなっているのかも疑問である。コナーズ博士が収監されたあとに、部屋で彼を問い詰めているのはオズコープ社の人間だろう。

高校の同級生で優等生のグウェン・ステイシー(エマ・ストーン)は、オズコープ社でインターンをしている。そこにもぐりこんだピーターは、途中から見学一行から外れてクモが生育されている部屋に入り込む。そこでクモに刺されてスパイダーマンになる。スパイダーマンに成り立てのピーターは正義の味方でもなんでもない。ただのいたずら好きの青年だ。それが変わるのは、グウェンと恋をしたためとグウェンの父で警察幹部のキャプテンステイシー(デニス・リアリー)に認められたかったからだ。

スパイダーマンは一人で全部解決するのではなく、薬剤中和剤をグウェンに依頼するしクレーンの操縦者の助けを借りてオズコープ社に駆けつける。遺伝子操作したウィルス入りの薬剤があんな簡単に中和できるのか、少し疑問に思う。それでも、今までのヒーロー映画と違って役割分担して戦うのが現実的だと思った。さらに、とかげ人間になった博士も企業の利益と成果主義の犠牲になったのだと考えられる。そういうことを考慮すると、アクションとドラマが両立されたすばらしい映画の誕生だ。



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