臨場 劇場版

横山秀夫原作で、検視官倉石義男の活躍するテレビドラマが映画化された。事件性があるのかや被害者の状況を調べるのが検視官だ。劇場版にするに当たって通り魔事件の2年後という時間の長さと、東京と神奈川県にまたがる広さを設定した。また、通り魔事件の犯人が心神喪失で無罪になり措置入院させられている。その事件の遺族や無罪にした弁護士や精神鑑定をした医者まで登場人物にして、物語をうまく着地させている。なかなか健等している映画だと思った。

冒頭倉石(内野聖陽)が雨の中をフラフラになって歩いている。仰向けに倒れてしまう。すぐに場面が変わり、2010年冬の吉祥寺駅前広場になる。買い物客でにぎわっている広場に突然路線バスが突入してきて、悲鳴をあげて乗客が逃げてくる。刃物を持った波多野(柄本佑)が降りてくる。ベビーカーを押していた女性と女子校生が犠牲になる。死者4名を出すが、犯人は心神喪失で無罪になり、措置入院になる。

2年後港区と神奈川県で、波多野を無罪にした弁護士と精神鑑定をした精神科医が刺殺される。手口が動脈を確実に刺している点などから、検視官の倉石らは同一犯ではないかと考える。捜査の指揮を執る捜査一課の管理官立原(高嶋政伸)も同じ判断をする。神奈川県警の仲根(段田安則)らが合流して、合同捜査本部が設置される。2年前の通り魔殺人事件の被害者遺族が怪しいと、さっそく捜査が始まる。

ところが、倉石は死亡推定時刻が同じになったのがおかしいと思う。被害者のズボンにあったお茶のこぼしたあとが、不自然だったのだ。倉石は直腸での体温からの推定時刻と、肝臓での推定時刻の違いを突き止める。被害者の二人の共通点として、さらに前の青年が刑務所で自殺した事件も浮上する。その青年は無実だったけど、仲根の強引な捜査で自白したのだ。しかもその青年の父は、現在も現役の警察官浦部(平田満)だった。倉石は恩師である法医学教授の安永(長塚京三)に意見を求めにいく。

なかなかよく練られた脚本だと思う。でも、倉石がなぜそこまで自分の命を顧みないで職務にのめりこむのだろう。倉石が入院したときに、何も検査しなかったのか。波多野が入院している精神病院の医師やスタッフは、なぜあんなに善人なのか。実際に取材しているのか、非常に疑問だ。安永が波多野にうった注射はなんだ。色々突っ込みどころはある。それは棚上げしても、もう少しテンポよく展開してほしかった。



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