ダークナイト ライジング

164分の上映時間全く退屈することがない。すべての映像シーンが濃密に計算されて、ノーラン兄弟の脚本の完成度に目を見張る。唯一の懸念は夏の映画館で水分補給をどうするかだけだ。IMAXの設備があればぜひともそのスクリーンで見て欲しい。最近のハリウッド映画では善悪の区別は微妙になってきた。今作でも現状の平和が偽りの取り決めで成り立っており、8年後のゴッサムシティで矛盾の産物狂気のテロリストが出現する。ダークナイトが立ち上がるまでには人間ウェインの葛藤があった。これは今年度の洋画ベスト10に間違いなく入るだろう。

前作でデント検事は復讐の鬼となり、ダークナイト(バッドマン:クリスチャン・ベイル)と戦った。その事実を知るのはダークナイトと、ジェームズ・ゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)だけだった。デントを正義のために戦った末に犠牲になったことにして、ダークナイトは引退する。デント法という法律を成立させて、犯罪者は街から追放か投獄された。街の中に犯罪者がいなくなったので、ゴッサムシティは平和な街になる。一種の差別とも言える政策であるけど、市民は満足していた。

ところが、ダークナイトであるブルース・ウェインも実業家を引退したのでウェイン産業の孤児院への補助も打ち切りになっていた。街に出ないので徐々に社会の歪が大きくなっていく。ある日、セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)という女泥棒が資金集めのパーティーに出没する。ブルース・ウェインは彼女に指紋を奪われたので、尾行していた。ブルース・ウェインは大企業ウェイン産業の主要株主であり、社会との接点はそれしかない。その弱点を確実に的中させて、正体不明の集団がNY証券取引所を襲撃する。

ベイン(トム・ハーディ)はロシアからの核物理学者を誘拐して、NY証券取引所を襲撃する。また、アメリカンフットボールのスタジアムのグランド部分やゴッサムシティの橋や街中を爆破する。それを防ごうと8年ぶりに出てきたダークナイトをベインに賛同した市民たちによって捕らえられる。抑圧されていた市民を解放するというもっともな演説をぶち上げたベインは、大衆を扇動して味方にしてしまう。デント法の制定の矛盾を暴かれて、警察は市民の敵になる。さらに、爆弾によって大半の警官は地下に閉じ込められる。

犯罪者が送り込まれた洞窟のような刑務所に収監されたブルース・ウェインは、身心ともにボロボロになる。そこで知ったのはベイン自身がその洞窟で生まれた子供だったことだ。刑務所で生まれた子供に罪はないが、その境遇を作った社会に復讐するのは自分のせいだとブルースは考える。そこで、ブルースは曲がった背骨をまっすぐにして肉体改造から取り組む。穴から這い上がったブルースは、ウェイン社が秘かに開発していた核融合の核物質を街に隠したベインたちに立ち向かっていく。

自動操縦のプログラムを戻していたのだから、ラストシーンは現実だと思う。



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