エージェント・マロリー

スティーヴン・ソダーバーグ監督が、ジーナ・カラーノを主演に迎えて作った女性が主役の本格サスペンスアクションだ。なんでもジーナは総合格闘技界の人気スターだそうで、非常にきれのある動きをしている。脚本もすばらしくて最初はわけのわからないストーリーだったのに、ラストではしっかりと理解できた。物語の中盤から映像が始まる形式も新鮮で、多数出てくる殺し屋さんたちの交通整理もうまい。食品会社のマロニーが商品をタイアップしているのには笑ってしまうけど、シリーズ第4弾のある作品よりも格段に見ごたえがあった。

ニューヨーク郊外のダイナー(小さな食堂という意味)で、マロリー・ケイン(ジーナ・カラーノ)が入ってくる。全体が見渡せる座席に座り、誰かを待っている。すると、アーロン(チャニング・テイタム)が入ってくる。少し話したと思ったら、いきなり乱闘を始めてマロリーが腕を十地固めにして逃げ出す。たまたまその場に一人でいた若者スコットを捕まえて彼の車ランエボに乗って逃げ出す。買ったばかりのラリーカーを自在に操るマロリーに驚くスコットに、彼女はそれまでのいきさつを説明し始めた。その最中にも、追ってが迫りプロ顔負けのテクニックで逃げていく。

マロリーは、バルセロナで人質救出の仕事を依頼された。3人の男性工作員とともに、人質がいるとされる建物に侵入して東洋人のジャンというジャーナリストを救い出す。アメリカのサンディエゴの自宅に戻り荷物を解いていると、仕事の依頼者ケネス(ユアン・マクレガー)がやってくる。しかもすぐにアイルランドのダブリンに飛べという依頼を持ってきた。ケネスは民間軍事企業のトップで、マロリーはその下で動く工作員だった。急な依頼に戸惑いながら、マロリーはダブリンに向かう。そこでは、ポール(マイケル・ファスベンダー)と夫婦の振りをしてある人物と接触するという。

その接触場所に行って見ると、自分が救ったはずの東洋人のジャーナリストが死んでいた。しかも、自分が来るときにつけていたブローチを握り締めている。マロリーは自分がはめられたと理解して、ポールといっしょにホテルに戻る。部屋に入るやいなや、ポールが殴りかかってきてまたも格闘になる。ジーナ・カラーノは総合格闘技のスターで、寸止めの演技をするのが難しかったと語っている。映像では互角の戦いをしているみたいだけど、本気で戦うとジーナが圧勝する。ポールを始末したマロリーは、カナダ経由で冒頭のシーンに至る。そこまでをポールに説明して、警察にすべて話すように言う。

マロリーは、ケネスと最初の依頼をしたスペイン政府のロドリゴ(アントニオ・バンデラス)にはめられたのだ。ニューメキシコの実の父の家に戻ったマロリーは待ち伏せて、その全容を把握する。アメリカ政府のコブレンツ(マイケル・ダグラス)に会ったマロリーは、いままでのことを水に流すから政府の給料で国のために戦うことを進められる。殺し屋を騙したら、命が危なくなるという原則をマロリーは実行に移す。その手際のいいことといったら、見事なのだ。余計な説明などなく、1時間半の上映時間にまとめられている。密度の濃いすばらしい映画の誕生だ。

これなら、シリーズ化してもお勧めできるものになるだろう。ジーナ・カラーノが、すばらしい。



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