リンカーン/秘密の書

セス・グレアム=スミスの歴史改変小説を原作に、ティム・バートン製作・ティムール・ベクマンベトフ監督で作られた映画だ。エイブラハム・リンカーン大統領がヴァンパイアハンターだったらという設定で、歴史的事実を交えながら描かれたアクション映画だろう。3Dで観るといっそう迫力ある映像が楽しめると思う。わては時間の都合で2Dを見た。3Dで観ると、馬の上の戦いや列車でのアクションなどが迫力満点で味わえるのだろう。また有名なゲティスバーグの演説の感動もすばらしい。南北戦争を勝利に導くために、銀の弾薬や銃剣を輸送するエピソードがおもしろかった。

1809年2月12日に生まれたリンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)は9歳で母を亡くす。22歳で独立すると、雑貨屋で働きながら法律の勉強をしてヴァンパイアハンターとしても活動を始める。斧に銀を仕込み武器とする。実際にリンカーンはプロレスの試合みたいなこともしており、190cm以上ある身長が威圧感を与えたようだ。力仕事も得意で斧使いの達人とも呼ばれていた。母を殺したのがヴァンパイアだと知っていたので、復讐の意味もあった。ヘンリー(ドミニク・クーパー)が戦い方を教えてくれて、最初は彼の指示で標的を見つけていた。

やがてイリノイ州スプリングフィールドで、メアリー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)と出会い結婚する。メアリーに夜はヴァンパイアをやっつけていると打ち明けるけど、冗談だと思って信じてもらえない。1846年には合衆国の下院議員になるけど、1期しか務めていない。51歳に共和党から大統領選挙に出馬して当選するまでは、弁護士として12年間生計を立てていた。ということで、リンカーンの伝記物ではないことがわかる。

ヴァンパイアの親分であるアダム(ルーファス・シーウェル)が、古代ローマのコロッセオの時代から生きながらえている設定だという。彼の助手で女性ヴァンパイアのヴァドマ(エリン・ワッシン)や奴隷商人のバーツ(マートン・ソーカス)もヴァンパイアだという。ヴァンパイアは南部を本拠地にして、黒人奴隷をその血の供給者にしている。南部の農場主たちと結託してヴァンパイアが存在しているというのは、いかにもな設定だ。また、リンカーンが奴隷解放を目指したのが黒人たちを救うためだったという。これもうまく考えられたものだ。

実際には、リンカーンが大統領になったころには南部諸州は次々に北部からの独立を宣言して国が二分されてしまう。奴隷解放宣言を出したのは、南部の黒人たちを農場主たちから解放して経済の弱体化を図るのが目的の一つだったようだ。それでも、映画の中ではウィル・ジョンソン(アンソニー・マッキー)という黒人の幼馴染と大人になって再会して、ハワイとハウスにも入ることが描かれている。悪者はヴァンパイアということで、政治的な配慮もあるのだろう。アクション映画としてはおもしろいと思った。

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