ポンペイ

「バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督が、イタリアのヴェスヴィオ火山の大噴火で一瞬で滅びた古代都市ポンペイを舞台にして描いたディザスター映画だ。テレビ番組でポンペイの悲劇の真相を特集したように、発掘調査などで噴火の状況はかなり解明されている。静岡大学教育学部の小山真人のプリニー式噴火で詳しく解説されているので興味のある方は参照して欲しい。ブリタニア(イギリス)で起きたケルト人の反乱から始まるこの映画は、非常によく出来ている。将来富士山の噴火が心配である静岡県人はこの映画で火山災害の実情を予習しておきたい。

ブリタニアでケルト人による反乱でローマ帝国は鎮圧に乗り出す。そこで子供だったマイロは奇跡的に生き残る。西暦79年、マイロ(キット・ハリントン)は奴隷として売り飛ばされて剣闘士(グラディエイター)になっていた。その強さが権力者の目にとまり、ポンペイのコロセウムで戦わせるために運ばれてくる。鎖につながれて歩いていると、貴族の娘カッシア(エミリー・ブラウニング)と侍女のアリアドネ(ジェシカ・ルーカス)が馬車で通りかかる。ぬかるみ足を取られて一頭の馬が転ぶと、マイロは馬の処理を買って出る。その手際のよさに、カッシアは目を止める。

カッシアはローマの都の喧騒にうんざりして、故郷のポンペイに帰ってきたのだ。年頃の娘の将来を心配するポンペイの長官で父のセヴェルス(ジェレッド・ハリス)と母アウレリア(キャリー・アン・モス)は、喜んでいる。でも、娘を追うようにローマからやってきた元老院議員のコルヴス(キーファー・サザーランド)が何を考えているのかわからない。父セヴェルスはコルヴスを歓迎するが、徐々にその狙いが自分の娘だとわかり警戒する。一方、剣闘士のマイロは、ポンペイ最強のアティカス(アドウェール・アキノエー=アグバエ)と戦うのだと言われる。

アティカスはあと一回勝利すれば自由の身になれるとマイロに話すけど、マイロは「そんなことを本当に信じているのか」と疑問を示す。カッシアとマイロがお互いにひかれあっているのが周囲に明白になると、元老院のコルヴスは奴隷ごときが何を生意気なのかと怒り出す。そして、コロセウムでの戦いの場面で、カッシアに自分と結婚すればポンペイへの投資に積極的に考えると条件を出す。その直後、ヴェスヴィオ火山が大噴火を起こす。

西暦79年8月24日のことだ。30kmの上空まで噴煙があがり、火山雲が空を覆い太陽が隠れる。そして、軽石や火山灰、火山弾が降り注ぐ。と同時にナポリ湾で津波が発生して、町は波に飲み込まれる。コロセウムが崩壊して、マイロは屋敷に閉じ込められたカッシアを救い出し逃げる。でも、巨大な火砕流が逃げる人々を飲み込んでしまう。権力をひけらかしていた人間も巨大な自然の脅威の前には、全くの無力だ。最後まで生き延びようとしたマイロとカッシアの姿が心に響く。
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