ウォッチメン

全くこれほど難解なアメリカンコミック原作の映画は、ないのではないか。DCコミック「ウォッチメン」(デイヴ・ギボンズ:イラスト、アラン・ムーア:スクリプト)を原作にして、「300(スリーハンドレッド)」のザック・スナイダーが監督し、非常に独特の世界観を表現している。

ニクソン大統領は、1969年から1974年まで在任している。この映画では、なんと1969年から1985年まで4期連続大統領の職にいる。国務長官はあのキッシンジャーだ。普通なら2期8年しか大統領を続けることができないので、現実の世界とは違うことがわかる。でも、描かれているのはアメリカを中心とした歴史上の事件だ。

その事件、JFK暗殺・キューバ危機・ベトナム戦争などに実はアメリカの都合のいいように導く監視者がいた。それが、「ウォッチマン」というわけだ。その存在が、あまりにも政府にとって不都合なために1977年にウォッチマンの活動を禁止する法律が成立する。この映画では、1985年に一人のウォッチマンが殺害されたことからロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)が調査を開始する。以下、若干注意。でも、見ていない人にはわからないかも。

ロールシャッハという名前は、例の心理テストのことで見る人によって形が違って見えるものを例えている。最初に殺されたウォッチマンは、コメディアンという愛称で呼ばれていた。コメディアンは非常に乱暴者で、戦争や紛争に介入して活躍していた。

ロールシャッハは、犯罪者の取り締まりが得意で何人も刑務所送りにしていた。1977年に活動を禁止されたウォッチマンは、エネルギー関連の大企業の経営者になったオジマンディアス(マシュー・グード)・放射能研究中の事故で粒子状の存在になったDR.マンハッタン(ビリー・クラダップ)・銀行家の父の遺産を引き継いで悠々と生活しているナイトオウル(パトリック・ウィルソ)らがいた。それと、母から役目を引く継いだシルク・スペクター(マリン・アッカーマン)は、マンハッタンんの恋人だ。

さて、込み入ったお話を整理して書いてみる。石油や原子力に頼らない新しいエネルギー源を開発したオジマンディアスは、ヴェイト社という巨大企業の総帥だ。そして、アメリカの権力者から対立しているソ連との核開発競争を終わらせたいと相談される。そこで、オジマンディアスは、かつての仲間のウォッチマンたちを利用して、自分たちの都合のいいように歴史を導こうとするのだ。

この顛末が実にひどい。多少の犠牲は全世界の将来のために仕方がないという理論で、全く現在の世界と比べても進歩がない。その証拠に、再建されたニューヨークの街には例のビルが出現している。全く、皮肉としか言いようがない。ゴロゴロ。



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