ザ・バンク 墜ちた巨像 THE INTERNATIONAL

クライヴ・オーウェンとナオミ・ワッツ主演のサスペンス・アクション映画だ。金融危機で現在の国際的な金融機関は大きなダメージを負ったが、この映画に出てくるような犯罪組織や各国の諜報機関と密接な関係を持っている巨大銀行があるならダメージを負っているかわからない。つまり、現在もこういう組織が存在している可能性がある。

インターポールの捜査官であるルイ・サリンジャー(クライヴ・オーウェン)は、ベルリンに本部を置く国際銀行IBBCの違法行為を調査していた。でも、インターポールは逮捕権がなく現地の警察に情報を提供して、犯罪者を確保してもらう必要がある。途中から捜査に加わるエレノア・ホイットマン(ナオミ・ワッツ)も、情報を得ることはできても直接手出しができない。

内部の情報提供者や証人を見つけても、次々と消していくIBBCのやり方はまさにマフィア並みだ。マフィアなら敵と味方がはっきりしているが、この国際銀行は独裁者でもテロ組織でも関係がない。国が代われば、買収された司法当局がインターポールの邪魔をする。

そんな汚いIBBCとサリンジャーの攻防を、迫力ある銃撃戦や狙撃用ライフルの暗殺シーンも登場してハードなドラマにした。サリンジャーとエレノアが恋に落ちることもなく、ひたすら非情なドラマが展開される。2時間弱の上映時間はちょうどよく、まさに男の世界だ。

さて、この映画は脚本がエリック・ウォーレン・シンガーのオリジナルということになっているが、モデルがある。それは、国際商業銀行(BCCI:Bank of Credit & Commeace International)とPermindex Trade Organization(スイスに本拠のある貿易振興機構)だ。

BCCIは80年代から90年初頭まで実在した銀行で、CIAやムジャヒディン、サダム・フセイン、マヌエル・ノリエガなどと関係があった。78カ国に展開して250億ドルの資産を持ち、マネーロンダリングや武器取引や核兵器まで扱っていた。

また、Permindexは日本語の資料がないが、ドゴール暗殺未遂事件やJFK暗殺事件の資金提供などに関係したと言われている。日本のマスコミでは全く登場しない、こういう闇のベールに包まれた銀行はたくさんあるのだろう。各国で起こっているテロ事件や内戦は、兵器が買えないとできないことだ。

そういう現実的な現状をかんがみると、この映画のエンディングは至極まともだと思えてくる。たまには、こういうハードな映画もいい。



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