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BBCで放送された6時間のテレビドラマをラッセル・クロウ主演で、2時間の映画にしたポリティカルサスペンスだ。オリジナル脚本のポール・アボットが製作総指揮に加わり、練りに練った脚本でケヴィン・マクドナルドが監督した。舞台はアメリカで、下院議員と民間軍事会社の関係にワシントンにある新聞社の記者がメスを入れるものだ。濃密な脚本で一瞬も見逃すことができないほど、無駄なシーンがない。

イラク戦争でも民間の軍事企業が活躍したらしいことは知っていたが、現在どの程度政府から仕事を請け負っているのかわからない。軍事行動をするのは正規軍で、輸送を民間企業が担当していると思っていた。でも、この映画の内容のように多方面に活躍している可能性はある。アメリカ政府としては軍事費を削減しないといけないが、やることは多い。

ワシントンポストが全面協力していて、撮影のアドバイスもしている。そして、エンディングクレジットで刷られる新聞の設備は、ワシントンポスト社のものだ。記者会見のシーンには、ウォーターゲート事件に関わった記者が参加していた。映画の内容はフィクションだけど、殺人やらだまし合いがいっぱいの極上のミステリーになった。

映画の冒頭で黒人の少年が逃げている。必死さが伝わってくるが、サイレンサー付のピストルで殺される。偶然通りかかったピザ配達人も狙撃されるが、命は助かり病院に収容される。また、下院議員のスティーヴン・コリンズ(ベン・アフレック)の女性スタッフでソニア(マリア・ベーカー)が、地下鉄で自殺に見せかけて殺される。

スティーヴンと大学の同級生のカル・マカフリー(ラッセル・クロウ)は、ワシントン・グローブ社の新聞記者だ。ボサボサ頭で無精ひげを伸ばしたカルは、昔かたぎの新聞記者だ。WEB版の担当のデラ・フライ(レイチェル・マクアダムス)は、最先端のジャーナリストだ。政治家の腐敗と産軍共同体の癒着、それを暴こうとする新聞記者。しかし、ジャーナリストも売り上げを上げないと生き残れない。

色々な問題点を全部取り上げて、同時進行でストーリーが展開される。全く、見事な脚本だ。特に難しいことを考えなくても十分に楽しめるので、大上段に構えなくていい。でも、製作者の志は非常に高いレベルにある。わてが、自信を持ってお勧めできる映画だ。映画館で公開中に見て欲しい。



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