20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

第一章と第二章をテレビで復習して、映画館ではじめて「20世紀少年」の最終章を見た。浦沢直樹の原作を読んでいないわてにとって、この映画は大変に平坦な物語に思えた。出演キャストが非常に豪華なので、非常に驚いた。2017年に58歳になっているということは、1959年生まれで自分と全く同じ世代である。子供のころに秘密基地ごっこをやった記憶があるわてには、彼らの子供時代を共有できる。でも、果たして今から8年後も子供時代の思いを忘れずに実行できるのか、全く自信がない。

その点、十人以上の登場人物が複雑に絡み合って生きていて、”ともだち”の誕生の秘密に説得力を与えている。シンガーソングライターの夢破れたケンヂ(唐沢寿明)や空手の道場主ユキジ(常盤貴子)、ウィルスの研究者キリコ(黒木瞳)、オッチョ(豊川悦司)、ヨシツネ(香川照之)、カンナ(平愛梨)などの主要なメンバーは、わかりやすく表現されている。1998年ごろから台頭してきた「ともだち」組織は、徐々に勢力を広げて2015年には世界制覇を成し遂げる。

そこまでが第二章のお話で、2017年の「ともだち暦3年」から第三章が始まる。前二作を見ていないと、たぶん理解するのが難しい。冒頭であらすじが紹介されるので、未見の方は集中していないといけない。でも、本編が始まると特に難解ではない。ところが、それぞれのエピソードが順番に繰り出されていくだけで、クライマックスと呼べるシーンがロボットと円盤の場面だけなのだ。

カンナたちが氷の女王一派として、過激派として武装していて実力行使をしようとしている。第一章で爆発によって死んだはずのケンヂが、記憶喪失から帰ってくる。また、昔の仲間たちがなんとか「ともだち」の計画を阻止しようと立ち上がる。といように、劇的なシーンがたくさんあるはずなのに、いまひとつ高揚感が得られなかった。

原作の漫画の雰囲気を大切にしているからなのか、円盤やロボット以外の作りこみが足りないように思う。さらに、タイムマシーンで子供時代に戻って真相を探る方法は、サスペンス映画としては安易な方法だと言わざるを得ない。まして、盛り上がったコンサートシーンで終わればいいものを、エンディングクレジット後に落ちを持ってくるとは間延びしてしまった。

素材は非常にいいのに、映画化することでイメージが固定され想像力が必要ない。映像にするのなら、もっと違うお金のかけ方があったと思う。監督は堤幸彦で、脚本は原作の浦沢直樹と長崎尚志だ。なお、カンナ役の平愛梨は収穫だった。



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この記事へのコメント
こんばんは!コメントありがとうです。
戦い模様はおっしゃる通り!
ケンヂ不在の中戦っていたのはいったいなんだったんだ!?ですよね~。
とはいえ映画は原作にある疑問の多くをなくしてくれたので満足しちゃいました(笑)
もうひとつの第2章~同様、かなり原作既読者を喜ばせることにこだわっていたという気はします。
Posted by くろねこ at 2009年09月06日 00:42
くろねこさん、こちらこそありがとう。
映画は、色々な解釈ができるので楽しいですね。
これからもよろしくお願いします。
勝手に貴サイトをブログピープルのリンクに入れておきました。
ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2009年09月06日 06:47
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