ウルヴァリン:X-MEN ZERO

X-MEN」、「X-MEN2」、「X-MEN:ファイナルディシジョン」、と映画版を劇場で見た。わてはそれだけ思い入れがあると勘違いしていたが、アメリカンコミックの世界には入りきれていなかった。どういう話だったか、すぐに思い出すことができなかった。それほどに、この映画は趣が違い、アメリカの歴史を見せられていると思った。ヒュー・ジャックマンが演じたウルヴァリンという、げんこつの先から飛び出す超金属アダマンチウムの爪を武器にした人間の物語になっていた。

彼が南北戦争開戦前のアメリカに生まれ、自分の身体の特異さから兄のビクターと放浪の旅に出ていたと物語が始まる。南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争などアメリカが経験した戦争に兵士として戦う。兄弟とも不死身の存在で、闘争本能を戦争という場で発揮して150年以上生き続けている。それで歳を取らないのだから、まさにミュータントだ。兄弟はともに協力して、150年もの間生き延びてきた。でも、だんだん兄の凶暴さが増してくる。

そして、謎の軍人ストライカー(ダニー・ヒューストン)が特殊部隊「チームX」を組織するからと兄弟がスカウトされる。他のメンバーも特殊な能力の持ち主で、拳銃の扱いが抜群にうまいエージェント・ゼロ(ダニエル・へニー)や二本の刀を武器にするデッドプール(ライアン・レイノルズ)、瞬間移動ができるライス(ウィル・アイ・アム)、電気を発生させるブラッドリー(ドミニク・モナハン)たちがチームにいた。彼らは、ストライカーの勝手な目的のために使われる私設軍隊のような存在だ。

アフリカに任務に赴いたチームは、隕石のありかを追及するために村人を皆殺しにしてしまう。そんなやり方に嫌気がさしたウルヴァリンは、チームを抜ける。ウルヴァリンは一人カナディアンロッキーの山の中に家を建て、小学校教師ケイラ(リン・コリンズ)と暮らして6年を経過していた。ところが、凶暴な兄ビクターが出現して、ケイラを殺害してしまう。

家族も失い、愛する人も殺されたウルヴァリンは、ビクターの暴走を止めるためにストライカーの申し出に乗ることになる。それは、全身の骨格を隕石から採取した超金属アダマンチウムと入れ変えてしまうというものだった。地球上のどんな金属よりも強度がるその金属と骨格を入れ変えれば、まさに不死身な兵器が誕生するというわけだ。

水槽の中に入り、アダマンチウムが注入されている最中にストライカーたちの陰謀を聞き取ることができたウルヴァリンは、だまされていたことを知り基地を破壊して逃げ出す。ケイラも兄のビクターもストライカーの計画の一部だと知った彼は、誰も信じることができなくなる。さぞ、彼は絶望感を味わったことだろう。

原子力発電所のスリーマイル島にミュータントの秘密基地があるという設定は、できすぎの感じがした。ニューオリンズのカードの名手・ガンピット(テイラー・キッチュ)との対決から始まるVFXを使ったアクションシーンは、さすがに見ごたえがある。二本の刀を操る男が、ウェポンX(イレブン)となってからの対決は手に汗握る。

愛する人を失い、兄とも宿命の対決をすることになり、利用されるだけされて捨てられれば、ショックを受けるのは当然である。ストライカーと同じ道を選ばないウルヴァリンの崇高さは、まさにヒーローと言っていいだろう。たとえ記憶を失っても、普通の人間と違っても人間らしいと思う。プロフェッサー(パトリック・スチュアート)が、子供たちを救いに来たシーンでやっと「X-MEN」とのつながりができて落着した。短い上映時間で、よくこれだけの物語を表現したと感心した。



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