イージー・ライダー

アメリカン・ニュー・シネマの代表選手というべき映画で、デニス・ホッパーとピーター・フォンダ、ジャック・ニコルソンを出世させた有名な作品だ。BS2で放送されたものを本日見たばかりだ。見る機会はあったと思うが、見逃していたのでちょうどよかった。95分の上映時間が、短く感じるほど密度が濃い。「Born to be wild」で始まる冒頭から、ロックだけの音楽がはまっている。二人の若者が、自由を得たいために自由の国アメリカでハーレーに乗って旅に出る。でも、自由であるはずの国にあるのは、偏見やよそ者を嫌う偏った考え方だった。未見の方は、レンタルでもいいので見てほしい傑作だ。

メキシコにワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)が、麻薬を入手しようとやってくる。ジーザス(アントニオ・メンドーサ)から小さなバッテリー二つ分の麻薬を手に入れる。そして、ロスの空港の近くでロールスロイスの乗った売人に売りつける。100ドル札の束が4個あったので、4000万ドルだろうか。その金を二人で分けて、ワイアットは星条旗デザインのバイクのタンクに金を隠す。ビリーは、どうもフロントフォークに隠したような描写があった。

チョッパー型のハンドルでカウボーイの格好をしたビリーと、ヘルメットと革ジャンにも星条旗のデザインをしたワイアットはニューメキシコ州のベガスを目指す。途中で、ヒッチハイクの男性(ルーク・アスキュー)を乗せて、ピッピーの村に連れて行く。その村では、都会からやってきた若者たちが自給自足の生活をしようとしていた。そこで、二人の女性と川に水浴びに行く。でも、居心地が悪くて旅立つ。

やがて、ニューメキシコのベガスについてパレードの後ろについていると、無許可でパレードに参加したと投獄されてしまう。獄中には、弁護士のジョージ・ハンセン(ジャック・ニコルソン)が酒のトラブルで泊められていた。父が町の有力者なので、ハンセンは警官たちに顔が利く。一晩いっしょにすごした三人は仲良くなって、ハンセンの口ぞえで罰金を払ってすぐに出ることができた。そして、ハンセンもニューオリンズに行きたいと言い出して、三人の旅が始まる。

彼らはグラス(マリファナ)は吸うが、コカインはやらない。どうも、その区別はしっかりしているようだ。1969年の公開なのだが、ベトナム戦争が劣勢になってくる67年頃から反戦運動が活発になる。そして、若者は自然回帰や反戦運動をするようになる。その一部がヒッピーとして排他的な運動になっていく。ワイアット、ビリー、ハンセンもそんな世の中の流れに乗った行動を取る。

ルイジアナ州ニューオリンズは南部のディープな地帯であり、白人は白人らしく黒人はジャズに身を任せるのが伝統だ。そんなニューオリンズの田舎町のレストランで、三人は保安官や農夫たちから罵声を浴びせられる。「オリに入れて見世物にしよう。あいつらは、北部から来たに違いない。長い髪をして女みたいだ。群境は越させない。」と言われる。

逃げるようにしてその店から出て、ニューオリンズの感謝祭に向かう。途中で野宿をしていると、突然襲撃を受けてハンセンが亡くなってしまう。それでも、娼館を目指して、ワイアットとビリーは街中に向かう。マルディグラと呼ばれるお祭りは一週間続くが、黒人の音楽を聴いていると葬式のイメージが沸いてくる。映画も、キリストの復活のことを描写し始める。

ビリーが、「俺たちは金持ちだからフロリダで引退しよう」と言う。すると、ワイアットが「無駄だよ」と答える。まるで悲劇を予想したような予感がしていたのだろう。ミシシッピ川に沿った道をハーレーで走っていると、散弾銃を助手席にのせたトラックが追いついてくる。そのトラックには、「群境は越させない」と言ったやつらが乗っていた。まさに、「IT`S ALL LIGHT」だ。



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