笑う警官

この映画は北海道警察本部で2005年当時問題になった裏金問題をヒントに、佐々木譲の同名小説を原作にして製作された。監督・脚本・製作は角川春樹で、主題歌にはホイットニー・ヒューストンの楽曲を採用している。大森南朋や松雪泰子、矢島健一、鹿賀丈史ら実力派の出演者をそろえている。でも、見ていて平坦な道を歩いている気分になった。わざと現実感のない、俳優のセリフで説明をさせる物語にしたとも思える。

北海道で問題になった裏金問題はその後全国に広がり、各県の警察本部で浮き彫りになった。そして、退職者を含めて総額何億円も返還した。そして、いまや政権が変わり、そんな裏金どころか予算の組み方まで抜本的な変更が行われようとしている。もう当局に遠慮することはないので、なんでリアルな演出をして過去と決別したところまで描かないのだろう。わては、残念なことにこの映画をお勧めできない。

北海道で当時マスコミの批判の矢面にさらされて、無念な思いをした元警察官の方々もいると思う。当時はそれは苦しい思いをされただろう。でも、今は何も後ろ指差されることはない。当時知事の対応も積極的ではなく、道議会が百条委員会を提案したが6回も否決され開かれなかった。そういう現実と比べると、映画のお話は過激だ。警察官が百条委員会に呼ばれて、その警察官が出頭できないように殺人事件の犯人に仕立て上げる。そして、武器を持っているから見つけ次第抵抗したら射殺するように指示が出る。

札幌市内のアパートで、女性の絞殺死体が発見される。その被害者は元ミス道警の水村巡査だった。所轄の刑事が現場検証をしていると、本部の上層部から捜査員がやってきて捜査の主導権を横取りする。そして、犯人を元交際相手の津久井巡査(宮迫博之)だと断定する。捜査一課の佐伯(大森南朋)や小島百合(松雪泰子)、新宮(忍城修吾)たちはできすぎた対応に疑問を持ち、元警官のマスター(大友康平)が経営するバーに集まり独自に捜査を開始する。

そこから複雑に展開される物語には、盛り上がりがない。非常に淡々とした流れで、退屈になってしまった。この演出方法を意図的にしているとしたら、すばらしいと思う。でも、ほとんどのお客さんは見続けるのがつらくなると思う。たまには、こういう映画にあたることもある。



同じカテゴリー(2009年映画)の記事
空気人形
空気人形(2009-12-27 15:52)

アバター、字幕版3D
アバター、字幕版3D(2009-12-24 21:23)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
笑う警官
    コメント(0)