2012

「インディペンデンス・デイ」や「デイ・アフター・トゥモロー」で知られているローランド・エメリッヒ監督が、製作総指揮・脚本と担当して腕をふるったデザスター映画だ。今度はマヤ文明の予言を元に、62万年に1回来る地球滅亡を描いている。全米でも公開されて、興行成績トップを記録している。おそらく、日本でも連休中たくさんのお客さんが見に来るだろう。その期待は、全く裏切られることがない。ここまで壮大な災害を描いてしまうと、次は何をするのかと思ってしまう。

わてが感心したのは、ニュートリノ天文学という最新の宇宙物理学に理論を求めたことだ。小柴昌俊教授がノーベル物理学賞を受賞したスーパーカミオカンデでの研究成果が、映画に使われているのはうれしいことだ。ニュートリノというのは、太陽やそのほかの宇宙空間から地球に降り注ぐ宇宙線のひとつで透過性が高い。なんで地球のマグマに影響するのか詳しくわからないけど、太陽からのニュートリノが急激に増加する設定は興味深い。

2009年、地球物理学者のエイドリアン(キウェテル・イジョフォー)はインドの研究仲間から地下の温度が異常に上昇していると知らせを受ける。太陽からのニュートリノが異常に増加して、それが地球内部に影響しているのではないかと推測される。アメリカに戻ったエイドリアンは、大統領顧問のカール・アンヘザー(オリヴァー・プラット)に報告書を見せる。緊急事態に大統領トーマス・ウィルソン(ダニー・グローヴァー)は、G8の場でその事態を報告する。そして、ある国の山奥に避難施設の建設を極秘に始める。

その三年後、2012年ロサンゼルスでリムジンの運転手をしているジャクソン(ジョン・キューザック)は、別れた妻の家に子供たちを迎えに来てキャンプに出かける。ノア(リーアム・ジェイムズ)とまだおしめが取れない妹のリリー(モーガン・リリー)を大きなリムジンに乗せて、イエローストーン国立公園にやってくる。そこで、三人が見たのはフェンスが立てられて、池が干上がっていた大地だった。

軍隊がやってきて、立ち入り禁止だと言われたのでフェンスの外に出る。すると、ラジオ放送をしているチャーリー(ウディ・ハレルソン)に出会い、「地球の滅亡が迫っている」とか「一部の政治家たちが極秘に巨大船を作っている」という話を聞く。信じられない内容に半信半疑になったが、ロスに帰ってから巨大地震の襲来に家族を救おうとジャクソンが行動を始める。

そこからの大地の異変は、まさに地球がひっくり返るような展開だ。地面がまるで、せんべいのように砕けていく。火山が雲よりも高く噴火して、隕石のような火山弾が降ってくる。また、1500m以上の高さの津波が大地を襲う。もはや、いったん襲われたら助かることは不可能だ。登場人物それぞれに家族がいて、次々と永遠の別れがやってくる。

ウィルソン大統領がワシントンに残る決断をして、箱舟に乗れない人々に真実を伝え助けようとする。一方、金持ちは自分さえ助かればいいと人間も出てくる。また、頭の固い政治家も登場して、犠牲を容認する場面もある。色々な人間像を丁寧に描いているので、大掛かりなVFXだけの映画になっていない。

また、ラスト近くの大迫力の見せ場は、映画館の大画面でぜひ体験してほしいものだ。ノアとかエイドリアンという名前を聞いて、聖書の物語が思い出せるならより深くこの映画を楽しめると思う。家族がいっしょに生活できることが、一番幸せだと心から思えた。

さて、ちょっと付け足しを。アメリカがこのプロジェクトの中心になっているように見えるが、実際は違う。日本の近所にある例の国が箱舟も作り、技術も持っているし原材料も調達している。各国の協力があるとはいえ、例の国がそれだけの大プロジェクトを実行できる唯一の国なのだ。そして、箱舟に乗ることができた人間がほんとうに幸せなのかはなはだ疑問がある。人間いつかは死ぬものであるし、生き残ってもどうなるかわからない。



同じカテゴリー(2009年映画)の記事
空気人形
空気人形(2009-12-27 15:52)

アバター、字幕版3D
アバター、字幕版3D(2009-12-24 21:23)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
2012
    コメント(0)