ブラック会社に勤めているんだが、もう僕は限界かもしれない

2チャンネルに自分でスレを立てて、話題になった黒井勇人氏の「ブラック会社に勤めているんだが、もう僕は限界かもしれない」を映画化した作品だ。監督は、佐藤祐市だ。2チャンネルで何が話題になっているかわては知らないが、これからもこういう書籍化は続くのだろうか。ここでいうブラック会社というのは、まともな就業規則がない・横暴な上司がいて・従業員を兵隊として使い捨てる会社だ。この主人公のように、高校中退で8年間も引きこもりだった青年には判別は不可能だ。

小池徹平演じる大根田正男(おおねたまさお:マ男)は、8年間引きこもりであった。母が就職活動のためのスーツを買ってきてくれた帰りに、交通事故で亡くなってしまう。それを機会に奮起したマ男は得意のパソコンを生かしてシステムエンジニアの資格を取って、就職活動を始める。学歴や経験がないことが理由で、やっと引っかかったのが黒井システム株式会社だった。いかにも温厚そうな社長(森本レオ)が、話を聞いてくれてすぐに採用してくれた。

社員に紹介したまではよかったが、社長が去るとリーダーの阿部(品川祐)から怒鳴りつけられる。OJTでできない仕事も押し付けられて、昼もまともに食べられない会社生活が始まる。ガンダムマニアの木村(池田鉄洋)はリーダーの腰ぎんちゃくだし、お局様の瀬古さだ子(千葉雅子)は経理を掌握している。活舌の極端に悪い上原(中村靖日)は周囲の言いなりで、人格者の藤田(田辺誠一)は謎が多い。そして、派遣でやってきた中西亜矢子(マイコ)はまともかと思われたが、恋愛マニアだった。さらに、大手IT会社から転職してきた木村翔太(田中圭)は野心満々だった。

こんな会社にいきなり放り込まれたら、社会経験のないマ男君はすぐにやめるのが普通だ。でも、マ男君は高校でもいじめられてきて、ひきこもりになりやっと太陽の下に出てきて、簡単にくじけないと心に決めていた。学歴も経験もないがなんとか独り立ちしようと、徐々に人間的に成長していく。その過程が、時にユーモラスに時に厳しく描かれている。

さて、この映画を見ていてすぐに気がつくのが、社長の黒井策士(森本レオ)が社員の前に姿を見せないことだ。リーダーと仕事の打ち合わせもしてないし、どうなっているのか描かれていない。エンディングクレジットの最後にしっかりとオチがあるので、見逃さないようにしてほしい。

ブラック会社というと、自分の会社は関係ないと思われるかもしれない。東証一部上場企業だから大丈夫とか、組合がしっかりとしているから大丈夫とかそんなことは今の時代言えない。わてが子供のころなりたい職業の一番だったパイロットは、年金を減らされるはめになっている。大きな会社のある部署だけがブラックである場合もある。上司がストレスのはけ口を部下にしたり、毎年社員を募集しているのに常に人手不足だったり、サービス残業が非常に多いとかあるだろう。

この映画の公式サイトには、ブラック会社の見分け方という親切なコーナーがある。その中で、「他人に自分の会社を薦められない」という項目があった。この映画は、製作者の意図である社会に元気を与えることもできるが、今の社会のどこにでもあるブラックな部分をすべて白日の下に明かしてくれた。今業績がよくていい会社だと思っても、いつブラックになるかわからないのだ。怖いですね。



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