カールじいさんの空飛ぶ家3D日本語吹き替え版

次々とヒット作を送り出すジョン・ラセターが製作総指揮になり、「モンスターズ・インク」のピーと・ドクターが原案・脚本・監督、ボブ・ピーターソンが原案・脚本・共同監督で作り上げたアドベンチャー・アニメの3D版だ。長年連れ添った妻を亡くして孤独になり、思い出がいっぱい詰まった家が再開発で立ち退きを求められたとき、老人が奇想天外な方法で旅に出る物語だ。カールじいさんは愛する妻がいる間は幸福だったけど、一人きりになって世間の人を寄せ付けなくなる。孤独に凝り固まった老人の、人生の再出発の物語になっている。

先に公開された「クリスマス・キャロル」はけちなスクルージの人生の再出発の物語であったが、この作品は冒険に出ることで持つことができなった子供とのふれあいや自然とのふれあいで、人生を見つめなおす映画なのだ。実によくできた脚本で、文豪ディケンズの物語に劣らない感動を呼ぶ。また、3D映像で空を飛ぶ体験をすることができて、夢のような絵を見ることができる。

子供の時におてんば娘だったエリーとそのぼろ屋で出会ったカールは、二人で冒険の夢で遊びながら大人になる。自然に二人は結婚して、そのぼろ屋を修理して住み始める。赤ちゃんを授かるが、流産して子供はいないまま歳を取る。年月が経過して、先にエリーがあの世に行く。一人残されたカールは、全く気力をなくして一人ぼっちの生活を送る。都市再開発で立ち退きを求められて、老人ホームに入らなくてはいけなくなる。でも、自由のない老人ホームよりも、カールは扱いに慣れた風船で家を空中に持ち上げて冒険のたびに出る。

偶然旅の道連れになるラッセル少年は、子育てができなったカールへの神様からの贈り物だ。子供との接し方のわからないカールは意思疎通を図るのが難しいが、冒険を続けるうちに協力しあうようになる。エリートカールが夢見ていた目的地は、南米ベネズエラ奥地にある979mの高さを誇るエンジェル・フォールがモデルになっている。映画では雲が下にあるので、3000mの標高のテーブルマウンテンとパラダイス・フォール(滝)という設定だ。

カールとラッセルは、雲の上にある台地状の標高3000mの高地で大冒険をしないといけない。その冒険は、カールが子供のときにあこがれた冒険家チャールズ・ムンツのような金儲けのためでもなく、名誉のためでもない。自分自身が正しいと思うことを、自分が愛する者のためのものなのだ。大きな飛べない青い鳥は、決して捕まえて持ち帰ってはいけないのだ。

その場所に生きている動物や植物は、その場所にあった生き方をしている。人間もまさにそのとおりで、天国のような別世界で繰り広げられる冒険劇はそのように収まっている。吹き替え版でも、ベテランの声優がやっているので違和感はない。大迫力の冒険活劇は、是非3D映像で体験してほしい。アメリカに帰ってからのカールの生活ぶりも、しっかりと見て映画館を出よう。



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この記事へのコメント
おじゃまします。
あぁ!そうですね!
たしかにラッセル少年はそうですね…。
Posted by inuneko at 2009年12月09日 14:23
inunekoさん、こんにちは。
この解釈はわての独自のものです。
人それぞれでいいと思いますよ。
Posted by とらちゃん at 2009年12月09日 16:36
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