ジーン・ワルツ

海堂尊原作の同名小説を映画化した作品だ。ジーンという言葉から遺伝子操作という連想をしたけど、物語の内容は産婦人科の先端治療に焦点を当てた現実的なものだった。子供を産むことがどれだけ大変なのか、映画でしっかりと表現されていた。シングルマザーや不妊治療に悩む夫婦、癌で卵管や卵巣を摘出した女性などが子供をほしいと願った場合にどういう手立てがあるのか問題提起が的確だ。救急車によるたらいまわしで死亡した例が紹介されているけど、医療関係者や役所の方々にもお勧めしたい映画だと思った。

産婦人科になる人が少ないとか、危険性がある患者は受け入れない、医療事故が起きるとすぐに警察が介入する、地域で産婦人科がないなどの問題を大変にわかりやすく示してくれた。マリアクリニックで起きる同時出産事件はあまりにもできすぎではある。でも、実際の出産シーンや産まれたばかりの赤ん坊の描写が訴える力が大きい。この映画を見ると、子孫を残すことの重大さを再認識する。

顕微授精はもう現実に行われていることだし、無脳症の赤ん坊に光を見せたいという夫婦の姿は感動した。大森南朋演じる医師が警察に逮捕されて、刑務所にいるのは実際に起こった事件を背景にしている。ただ、代理母出産の取り上げ方がかなり唐突である印象は否めない。曽根崎理恵(菅野美穂)と上司の清川吾郎(田辺誠一)との関係も、都合よく進みすぎている。浅丘ルリ子演じる院長は、嵐の待合室に登場するシーンが見事だった。

かなり物語の展開に都合がいい点もある。台風が接近して公共交通機関が麻痺しているのに、患者たちだけはしっかりとマリアクリニックに来ることができていたりする。他にも色々あるけど、生まれたての赤ん坊がすべてをカバーしていると思う。へその緒がついて、羊膜に覆われた赤ちゃんが泣き出すシーンはどうやって撮影したのか。帝王切開での出産シーンもいいし、桐谷美玲が演じた二十歳のシングルマザーの通常出産もすばらしいシーンだ。

現実はもっと複雑に技術が進んでいるし、医療過疎地問題も深刻だ。若い女性やこれから父親になる可能性がある男性には、特にお勧めしたい。



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