リアル・スティール

スティーヴン・スピルバーグとロバート・ゼメキスが製作総指揮に加わっている。「ロッキー」シリーズを相当意識した作りになっている。人間の代わりにロボットにボクシングをさせる近未来の物語だ。ロボットなら相手を壊しても大丈夫だというのは、ほかに殺し合いのない世界になったからだろうか。シュガー・レイ・レナードがボクシングの監修をしていて、ロボットの動きはモーションキャプチャーだという。ある意味狼男のヒュー・ジャックマンが情けない男性を見事に演じていて、子役のダコタ・ゴヨもすばらしい。ボクシングをテーマにした感動作だった。

時代は2020年、人間同士のボクシングがなくなってロボットたちが代わりに戦っている。チャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)は10年前以上にはボクシング選手だったが、今ではロボットがボクシングをするようになって生きる目標を失っている。ボクシングしかできないので、ロボットを使って試合をするがその日暮らしの生活を送っている。10年前に別れた妻が亡くなって息子のマックス(ダコタ・ゴヨ)を預かることになる。妻の妹デプラ(ホープ・ディヴィス)の夫が金持ちなので親権はそちらに移るが、彼ら夫婦がヨーロッパ旅行に行っている間だけ面倒を見る。

デプラの夫からもらったお金で新しいロボットを買うが、無鉄砲な試合を挑んで負けてしまう。チャーリーはマックスが言うことを聞かないし、子供のマックスの方が常識を心得ているみたいに見える。ロボットの部品を探すためにスクラップ置き場に忍び込む。マックスは偶然見つけた旧型のロボット「ATOM」を気に入り、台車に乗せて連れて来る。いやいやトラックにのせて、昔のボクシングジムのペイリー(エヴァンジェリン・リリー)のところに修理をするために訪問する。

そんなボロボロのロボットで何ができるのかと言われるが、今度はマックスが熱心に面倒を見る。ペイリーはジムを手放さないといけないくらい困窮しているけど、ATOMを修理してくれる。最初にやってきた試合会場で運よく勝つことができたが、チャーリーの借金を催促にきた旧友に有り金を全部取られてしまう。強いと思っていた父があまり強くなく、自分もおば夫婦に金で売られたと知ったマックスはなんとかしないといけないと思う。

この物語は実にうまくできている。大人であるチャーリーの立ち直りの物語でもあり、子供のマックスが大人への成長をする物語でもあるのだ。さらに、そこに絶対的なチャンピオンであるゼウスという名前のチャンピオンのロボットがいて、金持ちのファラ・レンコヴァ(オルガ・フォンダ)とメカニックのタク・マシド(カール・ユーン)が立ちはだかる。チャンピオンとの対戦が簡単に実現しないのも非常にいいと思う。

また、ロボットのボクシングには勝ってもマックスとチャーリーが別れるのが、実に世の中の厳しさを物語っている。単純な全員が幸せになるエンディングにしなかったのが大人の鑑賞にも堪えうる映画になっている。ボクシングの試合シーンには、モハメドアリとジョージ・フォアマンの戦いやシュガー・レイ・レナードの動きが参考にされている。モーションキャプチャーでこういうことまでできるとは、驚きだ。



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