恋とニュースのつくり方

視聴率がどん底の朝のワイドショーを舞台にしたコメディだ。テレビ業界の裏側がおもしろおかしく描かれていて、興味深く見ることができた。ネット全盛時代だと思っていても、アメリカの全国ネットの番組に出演したり作ることがそれほど羨望の的だとは意外だった。レイチェル・アダムス演じる女性プロデューサーの奮闘振りもおもしろいけど、ハリソン・フォードの伝説の報道キャスターとダイアン・キートンのお局キャスターとのけんかも愉快だ。奇をてらわず、最後はプライドを捨てて番組の危機に立ち向かうラストがすがすすがしい。

ベッキー・フラー(レイチェル・アダムス)はニュージャージーにあるテレビ局を首になる。8歳のときにキャスターにあこがれて、18歳からテレビ局を目指して勉強し始めて、28歳で失業する。母親からは呆れると言われるけど、全然めげていないのだ。ニューヨークのローカルテレビ局iBSに採用されるが、担当になったのは視聴率がどん底の朝のワイドショーだった。どうも、アメリカのやり方は責任者を首にしてその下で働くスタッフは働き続けることができるようだ。

番組にてこ入れするために、男性キャスターをスカウトする。ニュースの特別番組しか担当しないマイク・ポメロイ(ハリソン・フォード)の契約書を読み直し、狩猟の最中の彼を口説きに行く。いやいやスタジオ入りするマイクには、同じくらいのキャリアを持つお局キャスターのコリーン・ベック(ダイアン・キートン)とのプライド争いが待っていた。

ベッキーがマイクの酒癖を知って、泊り込んで会社に連れてくる。マイクのキャスター人生はピューリツアー賞やエミー賞を何度も獲得するほど輝いているけど、家庭生活は破綻している。親として子供にしっかりと接していなかったので、子供との交流もない。それで、料理がうまいことが付せんになっている。ベッキーは、スタッフから判断を求められて次々に指示を下す。しっかりとボスだと認識している証拠だけど、マイクだけは認めていない。

テレビ万能の時代の遺産であるマイクが、プライドを捨てるまでの過程が丁寧に描かれている。その描写を考えてみると、テレビの作り手が視聴者目線に下がっていることがわかる。天気予報の担当者が遊園地のジェットコースターのレポートをしたり、とんでもない企画に挑戦している。マイクがスクープした逮捕前の政治家のインタビューもめったにないことだ。視聴率を回復させたベッキーにNBCからスカウトの話が来ても、あえて仲間を大切にしたい気持ちが熱く響いた。この感動が心地よい。



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