悪魔を見た  I saw the devil

地震の直後に上映が始まったのがこの映画だ。人間も非常に恐ろしい存在になりうるけど、自然の猛威には敵わない。自然の猛威はその場所にいる人全員に降りかかるけど、人間の恐怖はそれぞれの内面に宿る。あまりにも衝撃的なことが起きたのでそんなことを思った。韓国映画の勢いそのものである迫力ある映像で、連続猟奇殺人犯と婚約者を殺された警察官の壮絶な復讐劇を描いている。R18 という規制がかかった残酷描写が繰り返されるので万人にお勧めできないけど、ハードな映画でも大丈夫なら挑戦してみてほしい。

以下後日。テレビが地震情報一色になっている中、肝っ玉の小さいとらごろさんは、犠牲者の数が増えていくニュースを見ていられない。自分のことのように感じて、気分がどんどん落ち込んでいく。精神科の先生も「あなたの場合は見ないほうがいい、映画でも見るのがいい」とアドバイスをしてくれた。映画では上映禁止になるほどの残酷描写があっても見ることができるけど、現実の災害ニュースを見ることができない。これは災害直後の被災者に見られるPTSDである。

猟奇殺人者に婚約者ジョヨン(オ・サナ)を殺された国家情報員のスヒョン(イ・ビョンホン)は、犯人に復讐することを決意する。上司からは3ヶ月の休暇を薦められるけど、短くていいと言う。ジョヨンの父で重犯罪課刑事だったチャン(チョン・グクァン)から捜査資料をもらって、4名の重要捜査対象者を知る。スヒョンはその4名を一人づつ探し出す。そのやり方は、業務上捜査を超えた強引なものだ。半殺しにしてどうするか見るというものだ。3人目で、ギョンチョル(チェ・ミンシク)を見つけ出す。

手口も狙う相手も同じだとわかると、スヒョンはギョンチョルが女性を乱暴する直前に助けに入り死なない程度に痛めつける。逃走用の金まで渡してギョンチョルを生かし続けて、犯行に及ぶ直前に邪魔に入りコテンパンにする。ギョンチョルの追跡にカプセル状のGPS追尾装置を飲み込ませて、絶対に逃がさない。ここまでやると、どっちが犯人でどっちが被害者なのかわからなくなる。

監督のキム・ジウンの狙いもそこにあるようで、人間の欲望と残酷さを徹底的に観客に見せ付ける。スプラッター物では「SAW」シリーズで免疫ができていたけど、食欲や性欲までいっしょに見せられるとなかなかの衝撃だった。ギョンチョルは途中で自首しようとするが、それも許さないスヒョンは犯罪者と変わらない。まさに韓国映画の勢いを感じる作品だった。



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