これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫

うなぎ犬が浜松市のキャラクターの座から降りたのは、この映画の公開を控えていたからだ。赤塚不二夫の漫画家としての仕事ぶりを担当編集者だった武居俊樹「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」を原作に映画化された。ギャグ漫画の天才と呼ばれた赤塚不二夫を浅野忠信が、担当編集者として武田初美を掘北真希が演じている。当時の社会的事件や風俗もギャグにしてしまう赤塚漫画の雰囲気そのままの楽しい映画になっている。泣いて笑って、ストレス解消なのだ。

フジオプロダクションの当時のメンバーには、古谷三敏・横山孝雄・高井研一郎らがアシスタントで在籍していた。漫画雑誌の編集者もアイディア会議に参加するやり方で、漫画のキャラクターやあらすじを確立していく。そのためには、漫画の世界から出てきたような型破りの発想が必要になる。1967年に小学館に入社した武田初美(堀北真希)は、入社式に乱入してきた赤塚不二夫(浅野忠信)の「ばかになれ」という話に呆れる。でも、一人周囲と違う反応をした初美は赤塚に指名されて少年サンデーの編集室に配属されて、本人の担当になる。

常識にとらわれない発想をするために、破天荒な格好をしたり新宿のゲイバーでどんちゃん騒ぎを繰り広げたりする。家族の酒癖の悪さから酒を飲んだことがない初美は、はずみで酒を飲むことになりそのおいしさにびっくりする。ぐいぐい飲みだして、周りのお客からベルトを借りてプロダクションのメンバーにビシバシやってしまう。女王様と呼ばれて得意になる堀北真希が、大変にはまっている。

また、1969~71年に東京都内で起きたピース缶爆弾事件や72年のあさま山荘事件をギャグにしてしまうセンスには、その社会を見る鋭さに仰天する。よく赤塚漫画にはおまわりさんが出てくるけど、実際に自分の靴で頭をポカンとすることをやっていたとわかった。初美はちび太というキャラクターになるのだけど、漫画に登場するキャラはほとんどが実在の人物をモデルにしている。おまわりさんを涙目で描いているのは、その役職への配慮と無謀なやり方への皮肉が込められている。

母赤塚ヨリ(いしだあゆみ)が亡くなったときのエピソードは、満州からの引き上げ時の悲惨な思い出が忘れられない証拠だと思う。数人の兄弟姉妹が別々の親戚にあづけられて、命を落としたものもいる。精神的に子供だという考えもできるけど、漫画への情熱から純粋な心のままできたとも言える。事務所の金を持ち逃げされても告訴しないで、多くの弟子や芸能人(タモリなど)を見出した才能は真似できない。

WAHAHA本舗の芸達者なメンバーが楽しい芸を見せてくれる。ユニコーンの「ぶたぶた」という主題歌もいい。閉塞感のある日本にぴったりの映画だと思う。泣いて笑って、次に進むのだ。ゴロゴロ。



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