岳ーガクー

石塚真一原作の同名漫画を、小栗旬と長澤まさみ主演で映画化した山岳救助の物語だ。最近の作品では三角点測量の映画があったけど、これは現代の山岳救助そのものをテーマにして大規模な現地ロケをした力作だ。特に小栗旬はまるで登山家のような身のこなしをして、スクリーンで見ているとそこが北アルプスの上にいる気分になった。わては、夏山なら高校のワンダーフォーゲル部で少し経験がある。危ない経験はないけど、しっかりとした装備をしていても遭難することがある。その厳しさと雲海の上から見る景色のすばらしさを実感できた。是非、スクリーンで見て欲しい。

新人の椎名久美(長澤まさみ)は長野県警山岳遭難救助隊に配属される。長野県警では実際に女性隊員もいるらしいが、久美のような命令に従わない隊員はいないだろう。原作が漫画だから、設定に文句を言っても仕方がない。それ以外の描写には全く文句のつけようがない。冬の北アルプスで雪渓に落ちた遭難者を、「よく頑張った」と声を掛けて山岳救助ボランティアの島崎三歩(小栗旬)が救い出す。雪の割れ目に入っていって、遭難者を背負って地上に出るのだからすごい体力だ。

あまりのスーパーマンぶりに久美は、「三歩さんって何者なんですか」と質問する。この時点での長澤まさみは、顔が丸っこい。でも、トレーニングを積んでいくうちに顔が引き締まっていく。それはすごいと思う。技術体力的には成長していくけど、三歩が命がけで救った遭難者が途中で亡くなる事件に遭遇して精神的についていけない。遺族の前でさっきまで土下座をしていた後に、平気で山荘のおばちゃん(市毛良枝)の大盛スパゲッティを食べている。気持ちの切り替えが早すぎて、ついていけないのだ。

夏山での観光気分の登山者に遭遇したとき、三歩たちが丁寧に対応しているのを見て久美は頭に血がのぼる。スニーカーみたいな軽装で北アルプスに登山するのが許せないのだ。その直後久美は、足元をしっかり見ていなかったので滑落してしまう。夏でも3000m級の山では怪我をすると命に関わる。幸いにも三歩によって救われる。「山においてきてはいけないものは、ゴミと命」だということを身にしみて理解する。でも、それが悪い方に働いてしまう。

爆弾低気圧が発生した雪山で、多重遭難が起き3組の登山者が動けなくなる。その中でも、結婚前の娘陽子(中越典子)と父一郎(光石研)のところへ久美が派遣される。隊員たちが着ている格子柄のシャツは、長野県警が使っているものにそっくりだ。ヘリコプターのワイヤー巻上げ装置も、本物に近いものだろう。小栗旬はアイスクライミング・懸垂下降・新雪でのラッセルなどをマスターしていた。八ヶ岳、八方尾根、奥穂高、立山連峰などを飛び回る小栗旬は、ほんとうによく頑張った。長澤まさみも、吹っ切れたような表情になっていた。

「岳」:石塚真一小学館



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