ハリー・ポッターと死の秘宝PART2

今年の2月に公開された「ハリー・ポッターと死の秘宝PART1」に続く「PART2」で、シリーズ第7作の後編という位置づけの作品だ。10年間に渡るハリー・ポッターシリーズが、とうとう完結する。悪と善は二律背反の存在であるとよく言われるけど、ここまで見事なストーリーを完成させたJ・K・ローリングの才能に賛美を送りたい。魔法銀行に保管された秘宝だけでなく、ペンダントやヴォルデモートの足元にいるヘビなどまで分霊箱として演出するとはすごい映画である。悪役側の者が必ずしも悪一色でない演出は、見ごたえがたっぷりあった。

両親を権力欲に取りつかれた魔法使いヴォルデモート(レイフ・ファインズ)に殺されて、一人だけ生き残った赤ん坊が魔法学校に入学する。数々の経験を積みながら、ハリー(ダニエル・ラドクリフ)・ロン(ルパート・グリント)・ハーマイオニー(エマ・ワトソン)の三人の仲間は成長して大人になる。ハリーが魔法使いとして実力をつけるに連れて、ハリーの両親に滅ぼされたはずのヴォルデモートも復活してくる。この運命的な二律背反な物語が、本作品の格調の高さにつながっている。どこから悪に落ちたのか、それはほんのささいなきっかけから抜け出せなくなる。

一旦滅ぼされかけた者は、自分の存在価値を残そうとする。自分の力の助けとなる物体や生物など、復活するためのチャンスを残しておく。それが、本作で”分霊箱”と呼ばれているものなのだ。悪の権化であるヴォルデモートは、人々の欲望や恐怖を利用して自分の地位を確実なものにしたい。それに屈してしまう者は、必ずしも最初から悪であったわけでなく色々な事情がある。とくに、現在ホグワーツ魔法学校の校長になっているスネイプ(アラン・リックマン)は非常に複雑な事情の持ち主だ。シリーズの最初のころは、どちらの味方かわからないくらいだ。

ところが、ヴォルデモートが復活して勢力を回復してくると、魔法界で立場を明確にする者が大勢出てくる。ハリーと同級生のドラコ・マルフォイ(トム・フェルトン)は、父のルシウス(ジェイソン・アイザック)に従って悪の立場になる。もともと悪側のベラトリックス・レストレンジ(ヘレナ・ボナム=カーター)のような存在もいる。そのベタトリックスに変装してハーマイオニーが、魔法銀行に侵入する。もちろん、ハリーとロンもいっしょに侵入する。途中でばれてしまうけど、杯と奪ってドラゴンに乗って脱出する。その杯を破壊すると、ヴォルデモートの力が弱まることがわかったのだ。

順番に力を弱める”分霊箱”を探していく。最強の杖は相手の手に渡ってしまうけど、蘇りの石と透明マントはハリーが持っている。さらに手がかりを探ってペンダントとヴォルデモートの横にいる大きな蛇が、分霊箱だとわかる。魔法学校を舞台に最後の戦いが繰り広げられる。そのダイナミックな戦闘シーンは、3Dならではの迫力だった。杖が持ち主を選ぶというヒントをもらったり、ハリー自身がヴォルデモートの分霊箱だという設定はなんという悲しい運命だろうか。でも、心配はいらない。しっかりとハッピーエンドが用意されている。まさに満漢全席と呼べる傑作だと思う。



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