くまのプーさん

わては、くまのプーさんのぬいぐるみを5個以上持っている。その顔つきは丸くてこの映画に出てくるようなクラシカルなものではない。この映画ではA・A・ミルンが考えた最初の姿や物語に回帰している。製作総指揮のジョン・ラセターの作るアニメは話もスピーディーで、動きも大変に滑らかだ。この映画のプーさんは、原点に戻ってちょっとおばかさんだけど可愛いくまだ。この映画の世界こそ、現代人が忘れたものなのだ。

お話の冒頭、プーさんは例によって寝坊する。お腹が空いたのでやっと目覚めたという、のんびりやなのだ。大好きなはちみつを食べようと部屋中を探し回るけど、全然見つからない。ほいでもって、お腹が先導して外に出て行く。その様子を見て、このプーさんたちは相当のんびりしていてどこか抜けているとわかる。100エーカーの森に出ると、おなじみの仲間がいる。

ティガー、ピクレット、ろばのイーヨー、ふくろうのオウル、カンガルーの母カンガとその子共ルー、うさぎのラビットだ。みんなが揃ったところで、イーヨーの尻尾がないことがわかる。困った仲間は、唯一の人間クリストファー・ロビンに相談する。すると、ロビンは「イーヨーの尻尾を探すコンテスト」をやろうと思いつく。プーさんたちは、色々なものをイーヨーの尻尾にしてみるが、なかなか合うやつがない。その様子がとても楽しい。

ある日、ロビンが「Gone out.Busy.Back soon」と書置きを残していなくなる。この英語には主語と助動詞が省略されている。「I've gone out.I'm busy.I'll be back soon」というのが正式な書き方だと思う。日本語では、「いくよ。いそがしい。すぐもどる。」となる。ここで、物知り顔のオウルがその書置きを何枚も森じゅうに張り出そうとする。「Back soon(すぐもどる)」を「Backson」と書き間違えて、プーさんたちはバックソンという怪物がロビンをさらったと思いこんでしまう。

実はロビンが小学校に行っただけのことだけど、プーさんたちは外の世界を知らない。プーさんたちは、ロビンを救おうとバックソン(すぐもどる)をおびき出す作戦を立てる。それは、自分達の宝物を森じゅうに並べて、落とし穴に落とすものだった。ところが、プーさんたちは全員が落とし穴に落ちてしまい抜け出せなくなる。この様子が実にのんびりしていて、おもしろい。

プーさんたちが怪物だと思いこんだのは、ロビンの書置きを間違えてうつしたことが原因だった。案外、世界に存在する怪物は無理解の賜物で生まれたものかもしれない。そして、人生で落とし穴に落ちることもあるけど、抜け出す方法は近くにあるのかもしれない。また探し物は、普段見ている玄関に落ちているかもしれない。大人が見ても実に示唆に富んだ物語だった。親子で見るのは最適の映画だろう。DVDになったら、一家に一枚は欲しい。



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