ステキな金縛り

三谷幸喜監督・脚本で作られたコメディだ。笑って泣いて大満足して映画館をあとにした。これは大ヒット間違いなしだ。140分を超える上映時間ながら、見事な脚本によって退屈しない。ドジな弁護士演じる深津絵里が落ち武者の幽霊を殺人事件の証人に採用するのまでと、真犯人を解明する過程を一つの物語にした。おもしろすぎて、役者の演技のすごさも実感できて、最後は泣ける。これだけのエンターテイメントを見ないのは、卵焼きを食べないのと同じくらい惜しいことだ。是非映画館で見て欲しい。途中でトイレに行かないように水分補給に注意なのだ。

宝生エミ(深津絵里)は弁護士である。朝遅刻して裁判に遅れ、事務所の速水悠(阿部寛)から嫌味を言われる。亡き父が高名な弁護士だったので、娘のエミはなんとか職場においてもらっている状態だ。これが最後と渡された案件は、金持ちの妻を殺した容疑で捕まった男性の弁護だった。面会に行くと「自分にはアリバイがあって、おくたまの旅館に宿泊していた。犯行時間には落ち武者の幽霊に金縛りにあっていた」と、告げられる。もう破れかぶれのエミは、実際にその旅館に宿泊して落ち武者の幽霊更科六兵衛(西田敏行)を連れて来る。

裁判で証言してくれと六兵衛に頼むと、「それは裁判員裁判か」と質問される。幽霊はテレビを見て、現代の日本について詳しいのだ。六兵衛の条件は、無実の罪で仲間に裏切られて死んだ自分の無念を果たすために慰霊碑を建てることだった。エミはすぐに安請け合いして、法廷に証人として幽霊の六兵衛を出席させる。でも、そんなことが現実に許されるわけもなく、ドタバタ騒動が巻き起こる。

相手方の検事は、科学的に証明されない超常現象を信じない小佐野徹(中井貴一)だ。その小佐野をなんとか納得させる方法がこれまたおかしい。六兵衛を見ることができる人間と見ることができない者の違いは、最近身近に死に直面したかとか人生に行き詰っているかというものだ。誰が見えていて誰が見えていないのか、その差異もしっかりと映像と役者の演技でわかるようになっている。六兵衛がどういう歴史的人物だったのかは、郷土史研究家の木戸健一(浅野忠信)が証言する。

被告人の妻矢部鈴子(竹内結子)には、愛人日野勉(山本耕史)がいる。日野の妻は風子といい、竹内結子が二役を演じている。とても同一人物が演じているとは思えなかった。さらに、霊界の番人段田譲治(小日向文世)は、エージェントスミスのような集団を連れて六兵衛を引き戻しにくる。阿倍つくつく(市村正親)なんていう陰陽師もどきも登場して、楽しい。脚本のすばらしいところは、一旦幽霊に頼らない裁判に内容を引き戻したことだろう。もちろん、すぐに戻ってくるけど。映画館で今見るべき作品だ。



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