ボーン・レガシー

マッド・デイモンの「ジェイソン・ボーン」シリーズと平行して違う計画が進行したということで製作された、シリーズ第4弾だ。ジェレミー・レナーが主人公になって、今度は遺伝子操作で能力を高められた工作員の物語だ。国家のためという大儀のもとに使い捨てにされる工作員の物語になっている。シベリアの極寒の地からオオカミに追われながらもアメリカまで到達する超人的能力が、遺伝子操作で授けられたものという点が今までのシリーズとの違いだ。驚異的なアクションとスピード感は健在で迫力満点だ。今回パートナーとなるので科学者のレイチェル・ワイズというのも、凸凹コンビでおもしろい。ただ、遺伝子操作という設定がちょっと違和感を感じた。それ以外は、全く退屈しないで見ることができた。

アラスカの滝つぼに男性が飛び込んで何かを拾って浮かび上がる。凍りつく寒さなのに、平気な顔のアーロン・クロス(ジェレミー・レナー)は防寒服を着て歩き出す。野生のオオカミが追いかけてきたのに、なんと撃退してしまう。カナダアルプスに入ると、山岳地帯を縦走する。とても飛び越えられない峡谷を飛び越えてしまう。もう並みの人間ではないことがわかる。案の定、彼はなにかの錠剤を定期的に飲んでいる。山小屋にアメリカ人がいる。CIAのエージェント同士、緊張感が漂う。狙われているのを知っているのはアーロンだけで、軍事衛星が見張っている無人偵察機がやってくる。その近づく音をふぶきの中で聞き分ける。そして、ミサイルが山小屋を破壊する。アーロンだけは、生き延びる。

赤外線探知だと知ったアーロンは、自分のお腹から発信機を取り出す。そして、生き延びるために自分に施された身体的秘密を突き止めようとする。研究所にいる研究者は何の研究をしているのか知らないけど、それぞれの分野の一流の腕を持っている。アーロンが生み出された「アウトカム計画」を葬り去ろうとするリック・バイヤー(エドワード・ノートン)は、すべての関係者を始末しようとする。それは遺伝子工学の専門家マルタ・シェアリング博士(レイチェル・ワイズ)の部署も同じだった。奇跡的に同僚の発砲事件から生き残ったマルタは、アーロンに救い出される。

そして、アーロンはマルタにどういう処置をしたのか問いただす。ここで語られるミトコンドリアだとか、DNAの運び屋にウィルスを使うという説明は生化学的にかなり正しいと思う。運動領域を少しでも活性化したり、精神の強靭化を少しでもできれば大変な成果だ。アーロンが飲んでいた錠剤は、脳の活性化に効くDNAの生産物(アミノ酸など)だろう。それを定期的に補充しないと、副作用が出るなら元のウィルスを注射すれば解決する。ということで、アーロンとマルタはお互いに生き残るために、ウィルスが保管されているフィリピンに向かう。

葬り去ろうとしている連中が使っているのは、各地にある監視カメラだ。その中から変装してパスポートも変えた二人を追うのは、時間差が生まれてしまう。ネットワークは世界に張り巡らされているけど、アナログな乗り物を使うと察知できない。そこをうまく使ったスパイアクションになっていると思う。ただ、どうしてもTウィルスを使った「バイオハザード」と似た内容になってしまうのが残念な点だ。マルタが短時間で観客にもわかるように、生化学的説明をするのは難しい。

ちなみにフィリピンで使われているバイクはホンダ製だと思う。あの殺し屋さんは、「プレデター」の映画に出ていた日本刀の人ですね。


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