トラッシュ!ーこの街が輝く日までー

「愛を読むひと」のスティーヴン・ダルドリー監督がアンディ・ムリガンの児童文学を原作にして、映画化した作品だ。ブラジルの貧困層でゴミの山で暮らす3人の少年がある日拾った財布をもとに、悪徳警官から追われるうちに社会の腐敗に切り込んでいく意欲的な内容だった。オーディションで現地の少年を採用して、実際にリオデジャネイロでロケを行った映像はドキュメンタリーのような緊迫感にあふれていた。殺される寸前までいきながら、愚直に社会を変えたいから権力に立ち向かう姿は平和ボケした我々の胸に突き刺さる。

子供が主人公だからといって、製作者側は全く手加減をしていない。「フレンチ・コネクション」という麻薬組織に対抗する映画があったけど、それのリオデジャネイロ版と考えてもいいだろう。ブラジルは経済発展が著しく、ワールドカップやオリンピックなどの世界的イベントを開催する。ところが貧富の格差は激しく、富裕層の捨てたゴミの山から金になるものを探して生計を立てる子供たちがいる。スラム街は非常に危険な場所だけど、ゴミの山で暮らす人々は力も弱い。

ある日、ラファエルが財布を拾ったことからゴミ山にパトカーがやってくる。ラファエルは友人のガルドに相談して、内緒にすることにする。刑事のフェデリコ(セルトン・メロ)は観察眼が鋭く、ラファエルとガルドに目をつける。「財布を拾わなかったか」と質問されて、ガルドは否定する。子供たちは警察が権力者の味方であり、自分たちを迫害するものだと知っている。穴蔵に住んでいるラットに相談すると、財布の中身のコインロッカーの鍵に合うロッカーを探しに行くことになる。

コインロッカーがあるのは鉄道の駅であり、そこまで行くのが大変だ。電車に堂々と乗るのは危険なので、下水道や地下から接近する。警官が見張っているなかをなんとか目的のロッカーを開けると、一枚の手紙が入っていた。その手紙の宛先が、刑務所の中のある人物だったことから事態が大事になっていく。子供だけで刑務所に行けるはずもないので、ジュリアード神父(マーティン・シーン)と助手のオリヴィア(ルーニー・マーラ)に助けを求める。最初に話したのは、オリヴィアだ。ガルドとオリヴィアが刑務所に面会で入っていき、手紙の内容を暗唱するシーンが緊張感たっぷりだ。

また財布を見つけたラファエルがパトカーの後部座席に乗せられて、血まみれで生き残るのもすごいシーンだ。映画の冒頭にある少女の墓に財布の持ち主が棺桶を入れるシーンがある。その持ち主の娘は死んでしまったと思った。財布の中身は、お金、ID、ポケットカレンダー、少女の写真、アニマルロトのカード、コインロッカーの鍵だ。聖書を入手してからの展開は、下手なアクション映画を凌ぐ。市長候補がお金を送っていた先に、警察や市当局はもちろん国際的なスポーツ組織も入っていたのでびっくりした。星4個以上。

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