エイプリルフールズ

エイプリルフールの一日に何人かの登場人物が嘘をついて、繰り広がれるグランドホテル形式の群像劇だ。ユーモアと少しの悲しみを含んだ物語は、硬くなりがちな頭をほぐしてくれる。ふせんがあちこちに配置されていて、それが回収される快感も味わえる。普段演じている役柄と全然違う配役を主役の二人戸田恵梨香と松坂桃李が演じているのが楽しい。多少わからないことがあっても、笑える映画だった。

新田あゆみ(戸田恵梨香)はコミニケーション障害であるけど、病院の清掃かかりとして働いている。医者の牧野亘(松坂桃李)との間に子供ができたので、電話をかけると嘘だと信じてもらえない。仕方がないので、彼とCAの麗子(菜々緒)が食事をしているレストランに殴りこみにいく。高貴な身分の櫻小路文子(富司純子)と佑麻呂(里見浩太朗)夫婦は、ハイヤー運転手(滝藤賢一)に案内させて優雅な一日を過ごしている。昔気質のヤクザ(寺島進)は、小学生の女の子を誘拐するが連れ回しているだけで全く身代金の要求をしない。

ほかにも占い老婆(りりぃ)は、失敗続きの救急隊員の男性(岡田将生)を騙して刑事(高嶋政伸)に捕まってしまう。また、行方不明になってから42年ぶりに生還する男性(生瀬勝久)は、探し続けた幼なじみの女性(千葉雅子)と巡りあう。引きこもりの中学生は、宇宙人と交信できると信じて学校のいじめっこを殴りつけてビルの屋上にあがる。男子大学生の二人(窪田正孝と矢野聖人)は、いままで黙っていた思いを打ち明ける。

たくさんの登場人物が、接客係のユースケ・サンタマリアとオーナーの小澤征悦が経営するレストランに集まる。レストランに乱入してきたあゆみが、モップの柄で牧野を殴りつける。周辺のお客に止められるけど、リュックの中に入っていたピストル(トカレフ)を見つけて立てこもり事件になってしまう。それでも、警察に連絡しないで自分たちだけで解決しようとするのが、笑えてくる。小学生を誘拐したヤクザは、実はその子供の実の父親だったので、警察が介入するも退散する。

ヤクザは暴力団幹部(千葉真一)をヤる前に、子供の顔を見たいだけだった。ところが、ピストルがあゆみの手にわたってしまったので、ドタバタ物語が展開される。医者は偽物で、CAは助産師、高貴な身分の夫婦も偽物、刑事も悩みをかかえている、宇宙人はいるわけがない、などなどの嘘がひとつの物語に収束するのだ。全く、バカバカしい物語だけどほっとする終わり方だった。暇つぶしに最適の映画だった。

トラックバック URL
http://torachangorogoro.blog.fc2.com/tb.php/235-50230394



同じカテゴリー(2015年映画)の記事
母と暮らせば
母と暮らせば(2015-12-16 22:59)

海難1890
海難1890(2015-12-12 21:25)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
エイプリルフールズ
    コメント(0)