マイ・インターン

「プラダを着た悪魔」でさんざんな目に会ったアン・ハサウェイがファッションサイトの社長になって、ロバート・デ・ニーロ扮する70歳の新入社員に助けられる映画だ。これは目の付け所がいいし、配役もいい。70歳になってもおしゃれに気を使い、色々なことにチャレンジしていたから最先端の会社に入っても戦力になれたのだと思う。クローゼットに何本ものネクタイを持っている70歳なんてなかなかいないのだ。カップルになるのが主人公二人でないこともうまいと思う。

ファッション通販サイトを起業して2年弱で急成長させたジュールズ(アン・ハサウェイ)は、分刻みのスケジュールでなんでも自分でやらないと気がすまなない性分だ。その反動は部下に影響しており、社長の気が変わると振り回されるのだ。幹部の一人がシニアインターンを採用しようと提案して、ベン(ロバート・デ・ニーロ)らが採用される。それぞれのデスクにパソコンが置いてあって、仕事の連絡はメールで来る。そんな環境にベンはびっくり仰天する。

でも、過去のことにこだわらない彼は周囲に教えてもらい、すぐに対応していく。ジュールズだけはベンが使えないと思い込むが、その先入観もだんだんと崩していく。まず、デスクが片付かない同僚の手助けをしたり、ジュールズから褒められたことがない者にも助言する。とてもアナログなやり方なのだけど、それがメンバーの信頼を得ていく。ジュールズの運転手が酒を飲んでいるのを見つけると、運転を変わったりして機転もきく。

そして、彼らの社屋が10年前までベンが勤務していた電話帳の会社の跡地だとわかると、ジュールズは見直し始める。人生経験の豊富さと事務処理の能力があるのだから、ITを使う方法がわかれば一番の即戦力になっていく。さらに、株主から提案された社外からのCEO招聘という問題にも、ジュールズは冷静に立ち向かえるようになっていく。そして、ジュールズの夫が浮気をしていたことについても、ベンの心遣いは憎たらしいほど的確だ。

こういう平均年齢の若い会社にはベンのような先輩が一人いると、全然変わってしまう。また、会社出入りのマッサージ師フィオナ(レネ・ロッソ)と仲良くなってしまうのも、若々しいと思った。若者にも中高年にも、自信を持ってお勧めできる物語だった。若者には自分が足りない部分がわかるし、中高年には目標とするお手本が示されているのだ。星4個。

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この記事へのコメント
TBありがとうございました。
女性向の作品では?と思っていましたが、オッサンの私が見ても面白かった。
デ・ニーロが理想の壮年像に思えました。
彼の体調が悪くなるのではと後半心配をしてみていましたが杞憂でした(^^)
TBお願いします。
Posted by atts1964 at 2015年11月05日 07:52
atts1964さん、コメントありがとうございます。
これは企画段階での勝利だと思います。
アン・ハサウェイもいいけど、デ・ニーロの品格がすばらしいですね。
70歳になってあんなに謙虚なおじさんは、なかなかいません。

私も将来あんな爺さんになりたいと思いますが、難しそうです。
Posted by とらちゃんとらちゃん at 2015年11月05日 15:17
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