感染列島

お正月から映画を見る気持ちになれなかったが、やっと行こうという段階になった。鳥インフルエンザが変異して、人から人へ感染するようになったのが新型インフルエンザだ。東南アジアで局所的な感染は起こったことがあるが、爆発的な感染はまだ起こっていない。

この映画は、もし爆発的な感染(パンデミック)が起きた場合、どうなるかを描いたものだ。地方の都市の市民病院の医師・松岡剛(妻夫木聡)と、WHO(世界保健機構)の感染症の専門家・小林栄子(壇れい)が、主役だ。慶応大学の医学部の教授が医療アドバイザーとして参加しているし、医者のドラマ経験者も多いのでリアルな描写が見られる。日本映画としては、なかなか高いレベルのパニック映画になっている。

このWHOの感染症対策チームの女性医師というのは、実在のモデルがいる。彼ら専門チームは、世界中のどこでも感染症が起きた場合にはすぐに真っ先に駆けつける。その実在の方の話によると、日本の新型インフルエンザ対策はお粗末なものだという。タミフルの備蓄や高性能マスクや防除メガネ、防除服などの設備面や、対策などのソフト面も不十分である。

そんな日本で、全く未知の病原体による爆発的感染が起きたら、この映画のように第二次大戦での犠牲者以上の死者が出るだろう。最終的な数字は、感染者5千万人・死者1千万人だ。そういう状況になれば大都市は廃墟となり、インフラは完全に寸断される。

特殊効果を使った廃墟となった東京や、実際に直前まで診療が行われていたある市民病院を丸々ロケに使っている。新型インフルエンザなら、これほどの被害にはならないと思う。でも、それがエボラ出血熱とかそれ以外の未知の感染症だったら、こうなるだろう。

妻夫木聡、壇れい、国仲涼子、田中裕二(爆笑問題)、池脇千鶴らが繰り広げる人間ドラマも、まずまずの合格点をつけられる。「明日地球が滅亡するとしても、君はリンゴの木を今日植えなさい」という台詞が、心に響く。



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