男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW

ジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」(1986)を自ら製作総指揮、物語の舞台を韓国釜山に移してリメイクされた映画だ。86年の作品は見ていないと思う。経済成長著しい韓国と脱北者を扱っているので、登場人物の造形が鮮やかだ。登場人物は男だけという硬派な内容で、銃撃戦の凄まじさが体に響く。台詞や小道具までしっかりと伏せんになっていて、見ごたえもたっぷりだった。

北と南の断絶が現在進行である韓国、釜山のマフィアになったヒョク(チュ・ジンモ)は脱北者だ。韓国社会に溶け込んでしまうと、もう何をしても関係ないのだ。ましてや自分を拾ってくれたチョン社長(キム・ヘゴン)のために全力で働いているのだ。ヒョクの心残りは脱北のときに、つないでいた手を離したばかりに北に残った弟チョル(キム・ガンウ)のことだ。

現在は組織の幹部になって、同胞のヨンチュン(ソン・スンホン)と武器密輸を行っている。社長の甥でテミン(チョ・ハンソン)は気が弱いので、ヒョクがいつも仕事に連れて行く。ある日、タイの取引現場で余興として拳銃の組み立て競争をする。取引相手に勝ったヒョクは、相手からロレックスの時計を分捕りテミンに与える。度胸もあるヒョクにかなわないとテミンが卑屈になっているのを見て、ヒョクは「その目はいつか裏切る目だ」と忠告する。

その後、弟チョルが見つかったと知らせが入る。タイ・ミャンマー・モンゴルと渡り歩いたチョルは、自分と見捨てて母が収容所で死んだことから兄ヒョクを憎んでいた。兄がマフィアになっていることを知ると、彼は警察官になることを決意する。一方兄ヒョクは、タイでの大きな取引を最後に引退しようとした。弱気なテミンを連れて取引現場に行くと、周りを相手に囲まれてテミンにも裏切られて警察に捕まる。テミンが取引相手と策略して、兄貴分を売ったのだ。

ヨンチュンは一人タイマフィアに復讐に乗り込み、両手に拳銃を持ち派手にやってしまう。でも、足に傷を負い韓国に戻ると洗車係りに身を落とす。ヒョクがタイでの3年の刑期を終えて帰国すると、組織はテミンのものになっていて社長も口出しができない。刑事になったチョルは、兄が戻ってくると信じてテミンを追っている。

チョルと同僚がテミンを尾行していると、突然大型トラックがぶつかってきて同僚が死ぬ。チョルも殺すつもりだったことがわかり、ヒョクはヨンチュンを誘いテミンに復讐をしようとする。マシンガンを使ったラストシーンのガンアクションが、乾いた火薬の臭いを伝えてくる。数年前にもらったロレックスの時計は偽物だったとテミンが言う。頭をペコペコ下げなら、偽物のロレックスを有難がるとは相当のワルだ。テミンを演じたチョ・ハンソンは、なかなかうまい。



同じカテゴリー(2011年映画)の記事
トロン:レガシー
トロン:レガシー(2018-10-16 14:01)

リアル・スティール
リアル・スティール(2011-12-12 00:13)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW
    コメント(0)